「前回のコラムVol.11:機材試聴時のポイントあれこれ①(https://rianria.com/column11/)」ではアウトボードやプラグインのコンプやEQなどの聴き比べるポイントについて書いて行きましたが、本当はこっちがメインです!
比較的簡単な方から書いてるうちに文字数がいってしまいまして、前編後編と分けることになりました。ということで早速本題に入ります。
マイクと人や楽器、値段の関係の個人的イメージ
結構大それたタイトルですが、コメントで「知りたい」と頂きましたのでakeruなりに選び方をまとめてみようかなと思います。
まずは普段はこんな感じでやってます。
毎回一緒に仕事をする人もいれば、初めまして人も多い業界なので、その人&楽曲に合うマイクってのを最初にしっかりと時間をとります。
それくらいパフォーマンスや結果に関わってくるから大事な作業で、前にも書いた「後からなんとでも問題(https://rianria.com/column10/)」は絶対に避けたいポイントです。
ボーカルは楽器よりも自分の体の中を伝わってくる音もあるので、違和感があるとテイクに現れてきやすいです。で、それを言える人と言えない人がいるのも現実です。それをボーカルの技量とか機材にせいにする前に表情とかをみて汲み取ってあげてください。
よく「レコーディングの時間があまりないので、いつもと同じマイクを立てる」って話をよく聞きます。予算とリリースのタイミングよくがあるからこそ、ほとんどの現場はそうなっちゃいますよね。経験から録れる音の結果がわかってるからこそ、その先の作業もわかるってのが前提にあります。職人っぽいですよね〜。
その考えはかなり嫌いです(笑)
思考が止まってますよね。商業スタジオの機材表とかをみた瞬間にあの頃から時間が止まってるんだな。そりゃ今しんどくなるよね。と思ってしまったりします。
過去のスタンダードを越えてくる新作ってのはいつ迄も発売されてきますし、いつ迄もそうであって欲しいですよね。なので、新作は可能な限り試してみてます。正確には事前に試しておくことを徹底してます。こればっかりはほぼライフワークでもあるのが、僕の強みかもしれません(笑)
まず当日までに過去作品や資料の声を聞いて目星を立ててます。これは過去に相当量のマイクやボーカルレコーディングをこなしてきたので出来てしまう職業病みたいなものですが、この予測を元に定番以外も数点用意しておきます。
マイクは値段が絶対か?
最初に書いておきますがマイクは「値段は絶対」&「値段が絶対じゃない」という相反するのがマイクやマイクプリです。
ある程度高価なモノはやっぱりそれだけの結果を産んでくれます。これは楽器全般に言えることなので、材料や手間をこだわればこだわるほど当たり前に高額になっていくわけで、やっぱり何かを妥協していかないと安くはならないんですよね。この意味で「値段は絶対」です。
安価なマイクにハイエンドのマイクにしかない音像の大きさと固有の色気などは絶対に出ないです。いろんなマイクのコピーモデルがありますが、パッと聞き似てる製品は多いけど、この部分がなく、その後の機材でどうにかできるって感でもないんですよね。
安いギターの後をハイエンドのアンプで鳴らすより、ハイエンドのギターをハイエンドアンプで鳴らす方がやっぱり結果は一目瞭然です。
じゃあ、高級マイクを買えばなんでも録れるかって言ったらそれはそれで難しいです。物理的には録れますが「合ってるか合ってないか?」はまた別問題なので永遠と終わらないマイクの楽しさでもあります。楽曲によってはレンジが狭かったり、特徴的な音の方が合うことも多々あるので「値段が絶対じゃない」とい感じでもあります。
個人的な経験から言えるのは、無限のバリエーションのある声や音に対する相性は全てを超えてくるので、楽しみながら探してみてください。
実際にマイクを選ぶときに注意しているポイント!
さてさて長い前置きはここまでにして、この辺を意識しながらチェックしてみるとなんとなく好きを言語化できるかも知れません。
ポイント① 絶対にオケの中で試す!
機材屋さんとかで試聴するときに自分の声だけ返されること多いと思うんですが、これちょっと勿体無いんですよね。確かに違いは分かるちゃあ分かるんですけど、なんとなくなんですよ。
まだ経験が少ない人だと多い「正直違いがわからない」から「ここが違うからどう思う」にもってきたいですよね。
まずはご自身のオケ、もしくは好きな曲のカラオケがあることに越したことがないです。こうしないとマイクのキャラクターが掴みきれないんです。
わかりやすく例を出すと、みんな大好きでインスパイア系マイクがたくさん出ているNeumannのU87AIですが、結構のエッジ感があります。もはや圧倒的な知名度に誤魔化されて気にしてないかも知れませんが、単体で聞くとそこのギラつきが気になる人がいて、AustrinAudioのOC18みたいな大人しい系のマイクを選らんでしまう可能性があります。
オケの中で聞くとそこのエッジの部分が歌から抜けるように聴こえたり、滑舌を強調してくれてたりします。また、安価なコピーとの違いでもある中低域の存在感が実はもう一つの大きな特徴だったりします。こういった部分はやはりオケの中でテストしないとわかりにくい部分です。
逆に言うとAustrinAudioのOC18はどんな音もそのまま受け止めると言う特徴があるマイクなので歌唱力がある人やプレイヤーの演奏のレベルが高く既にいい音が出ている場合は最適だったりします。
ポイント② 絶対に歌詞があるフレーズで試す!
これも個人的には絶対です。若手のエンジニアやクリエイターがよく「あーあー」とか「うーうー」みたいなので試してるのを見かけますが、これも「確かに違いは分かるちゃあ分かるんですけど、なんとなくなんですよ」Part2です。
これはかなり簡単で「あー」とか「うー」とかに歯切音がないので、前述のエッジや滑舌の部分わからないんですよね。なんでハードウェアのコンプが合った方がいいかを書いた時に説明した「か=K&A」とか「し=S&I」みたいに歌詞をはっきり伝える要素の部分で試してないので、いわゆるなんとなくな試聴になります。
ポイント③ 絶対に本番と同じ声量で試す!
マイクって音量に対して反応が違うのでそこがわからないってのもあるんだけど、ハイエンドのマイクほど一番小さい音まで綺麗に拾ってます。最近これで感動した特に感動したのは2年くらい前に復刻したNeumannのM49Vですね。こんなに上か下までダイナミクスが拾えるマイクは久しぶりで歌はもちろんアコギとかの録音は感動しました。
もう少し身近なもので例えてみると、スピーカーってボリュームで全然バランスかわりますよね?小さい音で鳴らすとウーファー側があまり動いてないので、低音がでないのでシャリシャリ気味になりますよね。体とか喉も同じで響かす部分はちゃんと音量が必要です。
受け取る側のマイクもそうですが、マイクプリもGAINの値でキャラクターが出てくるのでそういった面でも本番と同じ声量で試した方がいいと思います。
ポイント④ 可能な限り使い慣れてるヘッドフォンで試す!
これも結構大事です。ポイントの①〜③を気をつけてても「ヘッドフォンが低音が出ない」とか「ハイが強い」っていう落とし穴があります。つまり聴こえてる音自体がなんとも不公平な環境で試してることだったりします。
可能な限りと書いたのは「自分が使ってるモデルがその場所に無いって言う点」と「そもそも自分の使ってるモデルがキャラが強い」ってのあるからでして、前者の場合は自分のモデルを持ち込むなりで解決できますが、後者の場合は事前に普段使ってるモデルを聞きだす or 伝えてあげることで、キャリアがある人なら対応してくれると思います。
まとめ
普段からこの辺を意識して比較とかをしているのと、どんどん耳がよくなって判断が速くなっていくと思います。すごいざっくりまとめると「実際にそのマイクを使う状況に可能な限り近づける」ことを目指しましょう!
レコーディング用なら本気のテイクを録音するつもりで、Live用のマイクならヘッドフォンでの試聴にプラスしてスピーカーが鳴ってる状況でどうかなどなど。
実際のシチュエーションをイメージしていき、そういった希望を伝えて対応してくれるスタジオやお店さんを探してみてください。
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