まずは今までの位相合わせの話から
以前のコメントで気になったのが位相の話。レコーディングやミックス作業になるとよく出てくる言葉でいろんな人がいろいろ言ってるけど、そもそも「位相」って言葉が「Groove」っていう言葉と同じ領域で捉えられてるんだと思うのね。
漠然と理解してるけど、説明できないというか。個人的な回答を最初に書いちゃうと
「後々響くから、基本として最初にちゃんと頑張ったほうがいいよ」です。
位相崩れで音痩せしてるのを一生懸命音太くしようとしても限界があるんですよね。ここで合わせとけば、引っこみやすい音が前に出てくるかもしれませんよ〜。
さて、上下逆に波打ってる2つの波形の画像が書いてあって「これがずれてるとこの波の山谷で音を打ち消しあうから、音が細くなる。つまり山谷の向きを揃えよう。」ってのが一番多く見かける説明だと思います。
これね、例えばベースの録音時にDIでパラっってマイクとラインを同時に録音すると、マイクの波形の方が空気を通る分「その距離÷音速分」ラインより波形が少し遅れます。で、遅れた分を揃えないと先ほどの打ち消し合いが生まれてちょっと音痩せします。これを回避するために波形を波線くらいまで拡大して、遅れてる方の波形を前にずらして頭を揃えます。
この時に目だけでなく、音の変化も気にしてください。多少のずれくらいだと話からないっちゃーわからないけど、揃える前と揃えた後の音のひっこまなさ(これが音圧とかにつながる)は結構わかります。
波形の頭を合わせるにもいろいろコツがあって、演奏より前にわかりやすい単発音(サスティンがない音)を入れとけばかなり簡単になります。
例えば、クリックに合わしてミュート目の4分音符でブラッシングを入れてもらうとか、ドラマーにカウントいれてもらうとか。そうするとわかりやすい短めの波形ができるので合わせやすいです。
特にギターやドラムみたいにマイクが多い場合は、本体で音が鳴るメトロノームを鳴らしてその音を録音しとくと、それぞれのトラックに同じ波形が入るから、録りの前や編集の段階でどれだけズレるか(ズレてるか)が確認やすいし、作業効率が一気に上がると思います。
定番の逆相にも盲点があります。で、これ!
スネアの裏側は逆相ってのが有名ですよね。
これって物理的に向きが逆だからってことだと思うんだけど、ボトムマイクの位置というか音源との距離によっては100%じゃないこともあります。(まあ90%はあってると思うけど。)
たまたまボトムに立てたマイクが好きな音がするのが、床ぎりぎりまで離れてたとすると、波形の山谷があっちゃうかも知れないってこともあるし、よくあるのがドラムのトップマイクがスネアの打面の逆相になるともありまして、、
結局最後は耳が重要なんだけど、正相と逆相に2択のどっちの方が音が太く感じるかってでも合格点が取れますが、こんな便利なプラグインを見つけてからは位相合わせも楽しくなってきました(笑)

裏表だけじゃくて、位相をグルングルンに回せるんです(笑)
表裏の間をリニアに探せるのと、波形の位置をほとんど動かさなくていいんですよね。便利。で、コツは一番音が引っ込むとこの180度反対のとこにするとOK。音が太く感じるとこ探すよりこっちの方が見つけやすいです。
ドラムみたいなマルチマイクはスネアを基準とかにして順番にやってくのがいいのですが、その辺の説明は本家のこの動画がいいかなと。
余談
仮にお金と時間に困ってないとすると、道具と環境があればアマだろうとかなりいいとこまで行けます。でも、これを逆からいうとプロはアマの試行錯誤で出す答えに最短距離で行くためのノウハウがあり、その時起きた問題点も解決策が浮かぶ分いろいろ早く終わるからコスパがいいってことでもあります。
例えば、海外のレコーディングやソフトシンセ製作の裏側みたいなので、距離を測ってるの見たことがあると思うんだけど、これがさっきの距離÷音速でどれくらい遅れるからここに置こうってのを数学的に出してるやつ。実際はここをスタート地点に何回か録音しながら、細かく位置を詰めてるんですよね。SUPERIOR DRUMMER 3を収録した「Galaxy Studios」とか、あれくらい広いところでドラム録れると楽しいんだろな〜。
後、反射と共振に対しても対策をして、ある程度自分たちでコントロールしてる。キックに毛布が被ってたり、タムとスネアが共振をチューニングで避けるとかもそうだね。ここの基準になる数字ってやつも環境によってはベストじゃないので、絶対の数字からどれくらいズラすと収まるかは経験値になってくる。凄腕の調律師やドラムテックって呼ばれる人とかはここが凄いんだよね。ただ数字を合わせるだけならチューナーあれば誰だって出来るけど、プロが居るってそういうことなんだろうね。
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