MIXテクニック基本編COMP③:コンプの設定は数学に近い!

設定探しはグリグリからスタート!わかりやすくしてから見極める

今回は「MIXテクニック基本編COMP②」のコンプの方式からの2連戦です。この辺は一気に書いておいた方がいいかなと思いまして連投します。

早速、細かい話は抜きにコンプの設定を見つける方法はこんな感じ。最初はこれで大丈夫です。

設定の仕方を簡単に言うと、まずスレッショルド&Ratio全開、アタック&リリースも最速で、メイクアップゲインもぐいっと!!もうノブはフルでよくて、バッキバキにつぶした音の音量を戻しパンパンなくらい圧縮された状態にします。いわゆるEQ編で出てきたグリグリのコンプ版で、この過激な設定にするとアタックとリリースの設定の変化があからさまに分かるので、見極めのが簡単になります。

分かったふりして適当に決めている人ほど試して欲しいテクニックの一つです。そのうち耳が何処を集中して聴くかを覚えてくるので、こうしなくてもちゃんとして設定を作れるようになります。

僕の場合、コンプはまずアタックを追い込みます。アタックの値を最速から徐々に遅くして行くと、音のエッジが抜け出してくるのが分かるから、その音を聞きながら「エッジを立てたいのか?」それとも「エッジを潰して滑らかにしたいのか?」ここでアタックの設定は決まります。

そして違和感のないようにリリースを設定。これも細かい話は抜きにBPMが早ければ早め、遅ければ遅めで違和感がないところでOK。76系とかならもう最速でいいです。リリースは大体の設定が出来てから更に微調整すればいいので、今の時点では大体で行きます。ハキハキさせたいか、のっぺりさせたいかで、音を聴きながら触っていくと自ずと決まってきます。

コンプの練習をするときは1176系みたいinput=スレッショルドなモデルより、WAVESのRenaissance Compressorみたいな割りやすいコンプの基本パラメーターが全部あるデジタル系の方が理解度が高まります。

次に音の変化に気をつけてRatioを決めます。Ratioはスレッショルドの値を越えた音量を何分の1に潰すかを決める値です。トラックの音のピークが-14dbでスレッショルドを-20dbだとすると、-20dbから上の6dbを1:2なら半分の3db潰して-17db前後になります。

Ratioの設定はアタックとならんで、いわゆるコンプ掛かってる感につながるので、個人的には1:3~1:4から初めて個々で音質の変化を確認しときます。レベルメーターを見ながらここでどれだけレベルの飛び出しが揃うか?潰したいピークをちゃんと潰せているか?を判断しながら調整していきます。

1:8とかはよっぽどじゃないと無いですが、ラップを一定レベルに揃えきりたい時に使うとかで、個人的にそれ以上のRatio設定はパラレルミックスや機種特有のサチュレーションを求めるとかの特別な用途以外に使う事はありません。正直Ratioは1:3か1:4(この辺ってことね、プラグインごとに値が違ったりするので)とかしか選んでないかも。 スレッショルドの方で考えることで事務的に考えてるの気がします。

スレッショルドを適正な(トラックのトラックの音量メーターで判断)ゲインリダクションが行われる位置まで戻して、潰れた分をGainで稼ぐ(実際は戻すイメージ)んだけど、ここで一番気にしなきゃいけないのが、バイパスしたときとの音量が聴感上同じくらいに聴こえるところがMAX(それより少し小さくてもいいかも。)コンプは何度もバイパスして効果を確認する癖をつけてください。スレッショルドの適正な値の探し方は次回に書きますよ〜。

コンプの基本って、デジタルの世界は0dbが絶対なので、音量感を揃えながらトータルでクリップしない様にピークを下げていく作業になります。それがメインの目的で、それの中にいろいろな音質変化、ナチュラルか歪むか、つぶれた感出るか出ないかなどが違うわけです。

この聴感上にレベルが揃った時点で、メーターの位置は前より同じかそれ以下になってるからフェーダーの余裕が上方向に生まれて、他のトラックとの兼ね合いに余裕が生まれるという感じ。

さらにうまくコンプに当てるには?

高いRatio&浅いスレッショルドより、軽いRatio&深いスレッショルドの方が音質は自然だと思う。もし1台目で思い通りに行かなければ、1台目コンプで軽くアラを潰して、2台目で更に整えるなどの方がサウンド的には良い結果が得られます。

個々のトラックの次に楽器ごとのbusトラックがあって、その先にSub Masterトラックがあってなど、Masterトラックのアウトまでに何回かダイナミクスを整えるタイミングがあるので、何重にも薄く掛けて最終的に収まってれば良しともいえます。バンド系のダイナミクスを残そうとすればこうするし、逆にダンス系の一貫した音圧の安定がほしければ個々から強めに仕上げていくことが多いです。

それでも極端にコンプが掛かる場所がある場合は、その部分のVolのオートメーションでその箇所だけ下げてしまうとか、波形自体のVolを下げてしまうなどして適正にコンプに当たる様に調整するのも無駄にダイナミクスを殺さないコツです。書いてて思い出しましたがコンプのメーター見ながら極端なとこは波形のVolをいじってます。

細かい事を言うと、Volのオートメーションはポストフェーダーだから、コンプ等の処理の後の話。コンプの掛かり方は波形のヴォリュームを下げるほうが正解です。最近のDAWなら波形ごと音量触れるから、以前みたいにコンプのオートメーション書いてた時代より簡単でしょ?曲中に一回か二回くらいしか出てこない極端なピークにあわせてキツめのコンプを掛けてしまって、ダイナミクスの少ないのっぺりとしたトラックを本当に多く見かけるので要注意です。

ここまでに上げているのはあくまでも基本(しかも個人的な)なので、実際の録音データの具合によっては「-20dbも潰す」なんて極端な設定になることも多々あります。バンドもののピアノのバッキングとかそうしないと聴こえないこともあるし、自然な設定じゃないけど聴こえないよりはいいかなってことも多いです。

まとめ

レコーディングとミックスは、自然に聴こえる様に超加工すること。演者と試聴者は同じ空間にいれば、耳と脳がバランスをとってくれるけど、デジタルにするためにマイク等で収録するってことは、凄まじく不自然なことをしてる(だってマイクを立ててる位置なんかで音をきかないでしょ?)訳です。耳では自然に聞こえる様に仮想現実の中で部品を組み立てる感じですね。

EQと一緒で設定は元の音次第であり、ピークを押さえてることが目的なので、コンプ側の値よりもそのトラックの音量メーターを常に確認するのが一番のコツですね。言い換えるとそのトラックの音をどこまでに収めたいかです。それぞれのトラックを-12db以下に仕上げていくと後半がかなり楽だと思います。

MIXの説明をするときに、この楽器にはアタックは〜ms、リリースは〜msと値で説明してる記事等の数字は覚える必要が一切ないので覚えるだけ無駄よね。人によってソースが違うので、掛かり方も掛け方も全く別もんになるので、そもそも偉そうに書く必要が無いと思っちゃてます。



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akeru
いつの間にやら業界歴20年越えのクリエイターが表じゃ書けないDAW関連レビューやMixテクニックなど書いていきます。 キャリアの中で身につけた経験を元に誰でも独学でプロレベルでミックスやアレンジができる様になれるよ!って記事を心がけてます。 最初は友人のバンドのお手伝いで始めたレコーディングから、アレンジ力が評価されプロデューサーという仕事に到達。その後、様々なバンドやシンガーさんの作曲からレコーディング、ミックスまでをまとめてうける用になって早20年近く。激しめのバンドものからR&B、HipHopを幅広く受けてます。 以前はアウトボードマニアでしたが、いつの間にやらIn The Boxの極みを目指してます。つまり「ミックスに関してはプラグインでもいけるよ」ってのが最近のテーマです。