わかりやすくしてから見極めるのがコツ!
今回は即戦力のCOMPテクニック②:方式を理解しないと遠回り!という、前回の内容に引き続きましての2連戦です。この辺は一気に書いておいた方がいいかなと思いまして連投しました。
前回の内容でコンプレッサーは方式によって得意不得意が結構ありまして、やりたい事に適した機種を選ぶことがまず正解への近道ですよ。と言った感じでまとめてみました。
今回は早速、細かい話を抜きにCOMPの設定を見つける方法をご紹介します。最初はこれで大丈夫です!
akeru流、コンプの使いこなし① 合言葉は「グリグリ!」&「Bypass」
さすがに慣れてるので実際はもう少し簡略化してますが、ボーカル以外はいつもこんな感じで探りをいれています。コンプの設定に自身がある人もほぼ勘な人も一度試してみてくださいませ。
設定の仕方を簡単に言うと、まずスレッショルド&Ratio全開、アタック&リリースも最速で、メイクアップゲインもぐいっと!!(流石に音が割れないくらいね)
簡単にいうと、もうノブは全てフルでよくて、バッキバキにつぶした音の音量を戻しパンパンなくらい圧縮された状態にします。
いわゆるEQ編の⑤で出てきたグリグリのコンプ版でして、この過激な設定にするとアタックとリリースの設定の変化があからさまに分かるので見極めのが簡単になります。
最初はコンプとは?使ってるが合ってるのか?みたいな時は誰でもありますが、そのうち耳が何処を集中して聴くかを覚えてくるので、こうしなくてもちゃんとして設定を作れるようになります!
僕の場合、まずアタックを追い込みます。アタックの値を最速から徐々に遅くして行くと、音のエッジが抜け出してくるのが分かるります。キックとかなら50〜60msくらいから音の角が聞こえてくると思います。
その音を聞きながら「エッジを立てたいのか?」それとも「エッジを潰して滑らかにしたいのか?」ここでアタックの設定を決めます。
そして違和感のないようにリリースを設定。これも細かい話は抜きにBPMが早ければ早め、遅ければ遅めで違和感がないところでOK。前回も書きましたが76系とかならもう最速でいいです。
リリースは大体の設定が出来てから更に微調整すればいいので、今の時点ではざっくりで行きます。ハキハキさせたいか、のっぺりさせたいかで、音を聴きながら触っていくと自ずと決まってきます。
コンプの練習をするときは1176系みたいinput=スレッショルドなモデルより、WAVESのRenaissance Compressorみたいなコンプの基本パラメーターが全部あるデジタル系の方が理解度が高まります。
次に音の変化に気をつけてRatioを決めます。Ratioはスレッショルドの値を越えた音量を何分の1に潰すかを決める値です。トラックの音のピークが-14dbでスレッショルドを-20dbだとすると、-20dbから上の6dbを1:2なら半分の3db潰して-17db前後になります。
Ratioの設定はアタックとならんで、いわゆるコンプ掛かってる感につながるので、個人的には1:3~1:4から初めて個々で音質の変化を確認しときます。レベルメーターを見ながらここでどれだけレベルの飛び出しが揃うか?潰したいピークをちゃんと潰せているか?を判断しながら調整していきます。
1:8以上はよっぽどじゃないと無いですが使いません。ラップを一定レベルに揃えきりたい時に使うとかで、個人的にそれ以上のRatio設定はパラレルミックスや機種特有のサチュレーションを求めるとかの特別な用途以外に使う事はありません。
正直Ratioは1:3か1:4とかしか選んでないです。 スレッショルドの方で考えることでレシオに関しては事務的に考えます。
スレッショルドを適正な(トラックのトラックの音量メーターで判断)ゲインリダクションが行われる位置まで戻して、潰れた分をGainで稼ぐ(実際は戻すイメージ)んだけど、ここで一番気にしなきゃいけないのが、バイパスしたときとの音量が聴感上同じくらいに聴こえるところがMAX(それより少し小さくてもいいかも。)
この聴感上にレベルが揃った時点で、メーターの位置は前より同じかそれ以下になってるからフェーダーの余裕が上方向に生まれて、他のトラックとの兼ね合いに余裕が生まれるという感じ。
コンプは何度もバイパスして効果を確認する癖をつけてください。スレッショルドの適正な値の探し方は次回に書きます。
コンプの基本って、デジタルの世界は0dbが絶対なので、音量感を揃えながらトータルでクリップしない様に各トラックのピークを削っていく作業になります。大工さんでいう鉋(かんな)がけとか、やすりに近いイメージだと思っています。
それがコンプレッサーの主たる目的であり、その次ににいろいろな音質変化、ナチュラルか歪むか、つぶれた感出るか出ないかなどが違う感じです。後者には人や音の数だけ好みがありますが、前者は絶対的要素になります。
akeru流、コンプの使いこなし② 薄がけレイヤーで粗熱を取る!
まず前提として、高Ratio&低スレッショルドより、低Ratio&高スレッショルドの方が音質は自然だと思います。
つまりある程度のしっかりとした音量のコントロールを狙うときに1台コンプだと、制御しきれないことが多々あります。
もし1台目で思い通りに行かなければ、1台目コンプで軽くアラを潰して、2台目で更に整えるなどの方がサウンド的には良い結果が得られます。
よくあるのが、OPT→FETの2段がけなどを目にしたことがあるかも知れません。これは前回のブログに書いたOPTの特徴とFETの特徴を活かして、ボーカルをナチュラルかつ前面に貼り付けたいときに使われる方式です。一時期のA社の作品では頻繁に使われていましたね。
実機ではなかなか難しいのですが、みなさん大好きなWAVESのCLAシリーズなどで簡単い再現でき、かなり有効なテクニックなのでよかったら試してみてください。
akeru流、コンプの使いこなし③ コンプチャンスは何回もあります!+α
個々のトラックの次に楽器をまとめたbusトラックがあって、その先にSub Masterトラック、Masterトラックと楽曲の最終アウトまでに何回かダイナミクスを整えるタイミングがあります。
なので、何重にも薄く掛けて最終的に収まってれば良しともいえます。バンド系のダイナミクスを残そうとすればこうするし、逆にダンス系の一貫した音圧の安定がほしければ個別トラックの時点で強めに仕上げていくことが多いです。
それでも極端に掛かる場所がある場合は、コンプのメーター見ながら極端なとこは波形自体のVolをいじって直してしまいます。めんどくさいですが、一部の場所でコンプが掛かりすぎ場合、設定を詰めるより圧倒的に処理が早いです。
最近のDAWなら波形ごと音量触れるから、以前みたいにコンプのオートメーション書いてた時代より簡単ですよね?曲中に一回か二回くらいしか出てこない極端なピークにあわせてキツめのコンプを掛けてしまって、ダイナミクスの少ないのっぺりとしたトラックを本当に多く見かけるので要注意です。
ここまでに上げているのはあくまでも基本(しかも個人的な)なので、実際の録音データの具合によっては「-20dbも潰す」なんて極端な設定になることも多々あります。バンドもののピアノのバッキングとかそうしないと聴こえないこともあるし、自然な設定じゃないけど聴こえないよりはいいかなってことも多々あります。
まとめ
レコーディングとミックスは、自然に聴こえる様に思いっきり加工することなんですよね。
演者と試聴者は同じ空間にいれば、耳と脳がバランスをとってくれるけど、デジタルにするためにマイク等で収録するってことは、凄まじく不自然なことをしてる(だってマイクを立ててる位置なんかで音をきかないでしょ?)訳です。
前述通り、EQと一緒で設定は元の音次第であり、ピークを押さえてレベルをコントロールすることが目的なので、コンプ側の値よりもそのトラックの音量メーターを常に確認するのが一番のコツだと思います。
言い換えるとそのトラックの音をどこまでに収めたいかです。それぞれのトラックを-12〜14dbあたりに仕上げていくと後半がかなり楽だと思います。
MIXの説明をするときに、この楽器にはアタックは〜ms、リリースは〜msと値で説明してる記事等の数字は覚える必要が一切ないので覚えるだけ無駄かなと思ってます。人によってソースが違うので、掛かり方も掛け方も全く別になってしまいます。
自分の耳で見つけられる様になってくると、いろんな人が言ってる値も理解ができる様になってくるのでまずは色々グリグリしてみてください。
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