適切なスレッショルドを見つければMIXは楽になる!
コンプ編の締めくくりはこれかなと。前回までにアタックとリリース、RATIOの見つけ方は触れたのでスレッショルドの位置の見極め方のコツを書いておきます。この10数年仕事をし続けて中でそれが一番うまいことコントロールできるという経験談なので試す価値はあると思ってます。
目線を変えてみると見えてくるものがあります。
ギタリストが結構上手くないとダイナミクスが大きくついちゃうアコギのアルペジオを例にすると、まずコンプのインプットメーター(もしくはトラックのボリュームメーターを)をしっかりと見て、そのトラックの最小と最大の値を確認します。ちなみにボーカルでも同じように値を探れます。
いつも通りこの数字適当ですが、1番小さい音が-12dbで、1番大きい音=この場合ピークとする音量が-6dbだとする。まあ実際これだとなかなか下手なので、もう少しちゃんと弾けるまでレコーディングさせないですね(苦笑)
さてコンプの設定ってGRの量ばかりみて値を決めている人って以外と多くないですか?
あっ!と思った人はそれだけで、もうこのコツの入り口に立ちました!
GRは設定に対する反応の結果が出ているだけで、適切な設定を作るという目的で見るところはそこだけじゃないんです。
この時のスレッショルド値の出し方は、1番小さい音をどれくらい上げればバランス良くなるかを考えて、その音が引っかかるちょいと上か同じくらいにしてみてください。
つまり今回の場合は-12db前後を狙います。そこからどれだけピークを押さえたいかを考えると、ピークの-6dbが-9〜10dbくらいになるとそのトラックは上に3〜4dbくらい余裕が出来るから、ratioは1/2〜4にしてみようと数学の様に値が出てきます。
このときのナチュラルさやサチュレーション具合とかは使うソフトやハードによるので別の話として、バランスが良くなったトラックで上に3〜4dbも余裕が増えれば、他のトラックとの兼ね合いもだいぶ自由度が高くなると思います。
これは何をしているかというと「コンプって何をするアイテムか?」というのを再確認してみてください。
「コンプレッサー=音量の大小を整える」アイテムといろんなところに書いてあると思います。これをもう少しだけ細かく書くと以下の2種類の効果があります。
- 大きい音を少し抑え、抑えた分そのトラックの音量が稼げる
- 相対的に小さい音の音量があがり、細かいニュアンスが聴こえるようになる
前者の方の意識が圧倒的に強く後者の方を忘れがちなのですが、個人的には後者の方が圧倒的に大事だと思っています。
いろんなトラックでソロなら聴こえるが、他の音が混ざると聴こえない部分が結構あると思います。これを安定して聴こえるようにするためにコンプレッサーを使う意識を持つことが何よりもポイントかもしれません。
特にボーカルは、こう言った意識のコンプと徹底的なオートメーションで聴き取れない部分がひとかけらもないようにします。この意識があるとそもそものレコーディングの精度もあがります。
キックやスネア、ベースなどセンターでずっと安定して鳴ってて欲しいトラックにしっかりとコンプなりをかけてるのはこういう意図もあります。
プラグインを挿す時に意味を持てるといいことだらけです!
まあアタックの設定でリダクションの値は大きく変わるから、前述のアタックとリリースの見極めがやっぱり重要なので、即戦力のCOMPテクニック③:akeru的コンプレッサー使いこなし3選!と合わせながら色々試してみてください。
音楽なのでこの数字や計算が絶対正しい訳では無いんですが、耳でとかの感覚派(どっちかと言うと、勘だな。)の反対側にこう言う考えとあるって事を今回のテーマでした。
どちらかしか知らない人より、どっちも知ってる上で使い分けてる他が守備範囲はやっぱり広いですし、無意識にダイナミクスのコントロールの精度が上がって行くと思います。
その音がちゃんと製品のクオリティで録音されていれば、音を変えないクリーン系のコンプを選ぶ、逆なら味をつけたほうがかっこよくなるならサチュレーション系のコンプを選ぶとか、自分の行動に理由が出来てくると闇雲にプラグインを刺しまくってるトラックにはならないです。
一つのトラックにいっぱいEQとコンプが刺さってるトラックって、どっかで自分で作っちゃったマイナスとか過剰なプラスを中和する無駄な行程のプラグインがあるはずなんですよね。
つまり、その最初の方の無駄な処理をしなきゃ後のプラグイン要らないってことでもあります。
だから一個一個のプラグインの理解度高めてを状況に合わせて使いこなすのが必要かなと。CPUも無駄づかいも減るし、高いプラグインを買う必要もDSPも買い足す必要も無くなる。
うん。良いことしかないよね(笑)
ここまでのEQとコンプの流れをすべて鵜呑みにしなくて良いいのですが、読んだことをなんとなく意識して、試してみるだけで今までとは違う結果が感じて貰えると思います。
次からは実際のトラックの処理というか、ミキサー上のルーティンとその意味について書いて行こうと思います。
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