まずは、なぜコンプをかけた方がいいかのおさらいから!
過去になんどもレコーディング時にはハードウェアのコンプがあった方が絶対いいと書いてきましたが、今でも同じ質問をされる度に勝った方がいいと言い続けてます。詳細は以下の記事をチェックしてみてください。
レベルの管理、プレイヤーの気持ち、録音時のデータの限界などなど、あ〜これは必要だなと思って頂ければ幸いです。
というこで、じゃあ実際どれを使えばいいの?ってなると思うので、実際に使ってるルーティンも含め価格帯別にご紹介させて頂きます。多すぎてもしょうがないので、同価格帯で最大〜3台くらいまで割愛します。
ここで書いてないモデルもこれってどうですか的なのはコメントでサクサク答えていこうかなと思っております。
〜10万でちゃんと本気で使えるモノラルコンプ3選!
FMR AUDIO RNC 1773 or RNC500
10万以下ときたら絶対に外せないのはこれ!
20年間近くこの価格帯の王者に君臨してます。正直後述のモデルを除くと、これでほとんどの掛け録りは対応できます。ちなみに日本の代理店であるアンブレラカンパニーの方で独自のカスタムをして、より歪み感を減らしてる(E) が語尾につく限定モデルもあるのでチェックしてみてください。
この機種は知る人ぞ知る機種かつロングセラー商品でもあります。ステレオコンプの表記がありますが、1chだけ接続すればモノラルで使用可能です。
まず、名前がいいですね(笑)RNC(=Really Nice Compressor)「超いいコンプ」です。
冗談用な名前ですが、音と機能はかなり本気です。
NormalモードとSuperNiceモードが、Normalモード時のつまみの効き方がすばらしく、過去記事も含めてコンプの理解度が高い人ほど、この効きの良さがわかると思います。
コンプとしての基礎体力は高いNormaモードに対して、SuperNiceモードがやばいです!どういう仕組みかは冒頭のリンクから代理店の商品説明にお任せするとして、akeru的なポイントだけまとめると以下の感じです。
かなりギチギチの設定にしても頭が潰れない。音質変化というかコンプかかった感がでない。
つまりコンプとして重要なレベルのコントロールが簡単にできてしまうので、コンプでの設定の失敗ってのが起きにくいので、ファーストコンプの人でもおすすめできます!
アコギの様なダイナミクスが大きい楽器はアタックを早めに、レシオ1/4~1/8くらい、スレッショルド深めといった感じでしっかりと捕まえると、かなりキレイなテイクが録音できますよ〜。
一旦脱線しますが、ミックスとか録音でナルシシズムを発動するのは初級者から脱出できない典型パターンです。トラックやプラグインの数が少ないが方が良いとか、録音時にできるだけピュアに録りたいからコンプやEQは使わないとか。。レコーディングは思想より結果が大事です。それらを使わなくても生音の粒が揃ってたり抜けがいいプレイができるなら別ですが、そのレベル人ほど、これらの必要性が理解できるレベルにいると思います。恥ずかしながらakeru自身も若かりし頃にハマった熱病です(苦笑)目指す結果に必要なことをするという基本に忠実になれば、余計なことを気にしないでいいのですが、まあ難しいですよね〜。
元々がハーフラックタイプで登場し、発売当時はアナログミキサー主流とかの時代でそれとの組み合わせとかの関係で、in/outの端子がアンバランスなんですよね。
この辺が前段に繋ぐマイクプリなどのレベルマッチングに調整が必要だっだりします。ここだけが弱点だったのですが、10数年以上の時が経ちAPI500シリーズでRNC500というバランス対応のモデル登場しました。
バランスアンバランスの問題&電源がアダプターからシャーシ供給になったことが原因なのか、聴感上かなり滑らかに感じます。値段が安いのも素晴らしいのですが、その値段の安価さがネックで選択肢に入ってないことも多く、いろいろ惜しいなとった印象です。正直、これが何台かあるだけで、かなりの仕事がこなせると思います。それくらい好きなモデルです!
Black Lion Audio Bluey 500&Seventeen 500
最近の製品だとこのBluey 500が結構いい感じ。ラック版を聞いたときはそこまでピンとこなかったというか価格相応だなって感じだったのでなんとなくで試してみたらあれ!?ってなりました。
普通だと、電源関係の問題でラック版の方が守備力が高いのですが、500シリーズのこちらの方が守備範囲が高いというか広いです。なぜかラック版より歪み感が薄く感じるのでいろんな用途に使える音になってます。500シャーシを持ってる人なら無理してラックの何かしらを買わなくてもこれを使いこなすだけで、本チャンレベルのレコーディングは可能だと思います。
マイクプリのときにも書いたのですが、Black Lion Audio製品ってモデルにしてる製品よりなんかクリアでスッキリしてるのですが、正にって感じのSeventeen 500。
いい意味で76系じゃないというか、音にマジックというよりは適切にレベルをコントロールできるってタイプなので、ある程度ハードウェアを触っている人ならこの良さはわかると思います。
どちらかという歌というよりは、セリフ、ナレーション、配信などなど、音質変化よりも決まった範囲内でレベルが揃って欲しいってニーズにはいいんじゃないでしょうか?
10〜20万前後でちゃんと本気で使えるモノラルコンプ3選!
Tegeler Audio Manufaktur Vocal Leveler 500 or MythVCA 500
500シリーズのラック持ってます&1slot 以上空いていますって人は絶対にこれですね!
2022年くらいに海外ですごい話題になって興味本意でサクッと購入しましたが、現在の1軍です。前述のRNC500の完全に上位互換って言ってもいいくらい気に入ってます。これか後述のIGS ONE LA500で大体事足りてます。
音質変化が少ないのはもちろんですが、味付けとは違う音楽的要素があるというか、雑な言葉いうとマジックを感じます。もはたAUTO一択で上のつまみでどれくらい潰すか、下のつまみでどれくらい戻すか?っていう操作性もシンプル。アコギとかベースにも使えるので万能。まさに今回のテーマにふさわしいモデルです。
最近新作でVCAが出ていまして、聞き比べる機会があったので個人的な感想を書くと、
Vocal Leveler 500は、所謂オプトなので基本アタックが遅いです。fastの設定はオプトにしてはかなり早いところまで行けるのですが、やはりMythVCA 500の方がかなり早いですね。これはキャラというよりは方式の違いで、それ以外のポイントは同じ印象です。
つまり、突発的な音量の変化がある音はMythVCA 500の方が捕まえられるよ〜くらいでいいんじゃないかなと。歌というよりはセリフとかゲーム実況とかで盛り上がった瞬間のクリップをみ防ぎたいみたいな用途は合うと思います。
動作方式によるコンプのかかり方の違いはこちらの記事をチェックしてみて下さい。
IGS Audio ONE LA 500
TubeTechのCL-1Bの生産が止まってから結構長い時間、その代わりに使える製品を探していたところ、いろんなブランドからこの立ち位置を狙った製品が出てきましたがどれもぱっとしな買ったのですが、10年以上前に一瞬だけ話題になったこの会社がまだあって、新作の500シリーズが結構いいよって聞いて即導入&前述のVocal Leveler 500と並んで1軍機種です。
通常のモデルの他、かのレジェンドToneflakeさんのMOD品がありまして、音が上というよりは反応がかなりキビキビして反応がいいので、バリエーション違いとして持っててもいいかなとは思いましたが、他もあるので俺は通常版でいいです。ボーカルのレコーディングメインだったらToneflakeさんバージョンの方が好きだっていう人も多いかもしれないです。
ちなみに金額は結構高くなってしまいますが、2Uのラック版のOne Leveling Amplifierもありまして、こちらの方がクリーン感というか、強い入力に対して耐えられる度が高いので声量があるボーカルさんや持ち運びを想定してないならラック版がいいかもです。ただ500シリーズの方で完全にプロレベルなのでどちらでも問題ないかなと思います。
まとめ
いや〜、書き出すと結構いいっぱいあるのでこのシリーズも何回かに分けることにしました。
冒頭にも書いたのですが、ここで書いてないモデルもこれってどうですか的なのはコメントでサクサク答えていこうかなと思っております。知らべればWARMとかGAPとかいろいろ出てくるのですが、もちろん悪くはないのですが、その辺に予算をかけるなら今回ご紹介したモデルを試したあとでもいいんじゃないかなと思って割愛してます。
次回はWES,Empirical,Retro,Chandler辺りをまとめていこうと思いますね〜!
いつも楽しみにしています。
待望の内容で最高でした。
IGS Audio ONE LA 500とVocal Leveler 500が一軍との事ですが、どのような使い分けでしょうか。
あと、Empress Effects ECM-519 は試された事はありますか。
よろしくお願いします。
コメントありがとうございます。
歌か楽器かで視点が変わってしまうのですが、歌の場合だと、歌がとても上手い人はONE LA 500で、それ以外がVocal Leveler 500な感じです。一概に上手っても色々あるのですが、ピッチとかではなくて、音価の長さ、声量などを意識的(もはや無意識)にコントロールできる人は、その人のそのままをしっかり受け止めればいいので、ONE LA 500です。LA-2A系ってGRの値が大きいと結構滲むので、その要素が薄いから使いやすいです。
逆にVocal Leveler 500は、こうだったら良いなって感じのところまでうまいことリリースを調整してくれる感じが、後々オートメーションで描き込みそうな部分を持ち上げてくれる便利さが気に入ってます。ギターのアルペジオやベースなどもそこの部分が助けてくれる感じです。
どちらもアウトボードにしては良い意味で味が薄いのが良いのですが、IGSの方がアウトボード感というかオプト固有のもっちり感があり、それが欲しいか要らないかも判断基準になってます。
本文でも書いてるのですが、やはりどちらもオプトの範囲での早い遅いなので、ジャンルや人、楽器によっては別の機種も使ってます。
Empress Effects ECM-519は、俺の耳では圧縮感が強い方なので、歌に選ぶことはないかなと言った感じです。ドラムとかみたいなパワーを閉じ込める時には向いてると思います。この方向でいうなら音はかっこいいです。
他にもこの方向をもう少しクリアにかつ知能指数高いな〜ってい感じなら、elysia mpressorもお薦めですね。歌い以外にはかなり万能な機種だと思います。
詳しいご返事ありがとうございます。
ボーカルやベース、アコギに使うものを探していたのでVocal Leveler 500を買ってみようと思います。
ONE LA 500は所有していてとても気に入っているので使い分けの説明もとても参考になりました。
また記事楽しみにしています。
最近更新が多くて嬉しいです。
①ということは②以降も予定されているのでしょうか…?
もしそうだとしたら、楽しみに待たせていただきます!
コメントありがとうございます。
来週くらいには②が行けると思います。いつも通り長くなりそうだったら、番外編③みたいになっちゃうかもしれないです(笑)
こんにちは。
マイクプリの記事からずっと楽しく拝見しております。いつもタメになる内容でとても興味深く面白いです。本当にありがとうございます。
普段趣味で配信をしていて、更に音質を良くしたいと考えています。配信で食えているほど稼いでいるわけではないので、20年以上業界にいるクリエイターの方に相談するのは厚かましく烏滸がましいと思い迷っていたのですが、よろしければご相談させて下さい。
普段コンプはPurple Audioの5C1 Actionを使っているのですが、少しコンプのトランスの問題なのか色付けが強いかな?と感じていて変更を考えています。
そこでakeruさんのこの記事を参考にしてSeventeen 500かMythVCA 500の購入を検討しているのですが、どちらがより配信向きに感じられルカのかお聴きしたいです。
また、マイクプリも迷走していてNEVE系やAPI等色付け系のマイクプリばかり購入してしまい、結局オーディオインターフェース直の音の方が声が聞き易いな…となってしまっていたので記事のクリーン系のマイクプリを検討しているのですが、最近SPLのPRE ONEというプリも発表されて気になっています。
akeruさんが最初に配信で選ぶならどれにされるのかもご教示頂ければ幸いです。
私は声高めの男声で早口なので客観的に見ると聞き疲れのする声だと思います。マイクはTELEFUNKENのTF39を使っています。
長文になってしまいお目汚し恐縮ですが、是非ともよろしくお願いします…!
ムーミン様。コメントありがとうございます。僕へのご質問とかはもっと気楽に考えて頂いて大丈夫です(笑)
誰やねん?よりは軽くキャリアを書いていた方が内容の信用度が少しくらいは増すかなくらいで、それを自慢するとか上から何か言いたい訳でもないです!
ということで、本題。
Purple Audioは76クローンの元祖に近い会社で、当時はこれのラック版くらいしかなかった様な気がします。で、書かれてる通り結構キャラ強めのブランドなんですよね。
そういう意味ではボーカルや楽器にパンチが欲しい時に使いたい音でもあり、お悩みの通り配信となると少し目的がずれてしまうと思います。
「eventeen 500かMythVCA 500の購入を検討している」
に関して、ざっくり答えてしまうと、コスパ抜群でクリーン目にかかるけど音楽的なマジックの少ないSeventeen 500、無色の要素が強いまま、VCA的なはっきりも作れるMythVCA 500って感じなので、声の強弱が結構ある実況系とかの配信の場合は、MythVCA 500の方がずっと使えるんじゃないかなと思います。
マイクプリは悩みますよね〜。やっぱNeveやAPIが欲しいですよね(笑)で、それを持ってしばらくするとクリーン系の存在意義が理解できてくるのですが、まさにこのタイミングにいらっしゃるのかなと。
インタフェース直とクリーン系のマイクプリって同じ方向だからあまり効果なさそうに見えるのですが、モニターの音の時点で輪郭&厚み、臨場感が全然違うで演者としてもテンションがあがります。500シリーズをお持ちの様なので、Sym ProceedのSP-MP500とかShadow HillsのMono Gamaとかが個人的なお薦めですが、最強の無難Rupert Neve Designs Portico 511とかもありだと思います。
SPLのPRE ONEは確か、〜ONEっていうSPLのチャンネルストリップのマイクプリなはずなので、僕がよく書くCressndoよりはかなりすっきりはっきりしてるますね。
値段も魅力的なので流行るかもしれないですよね。
ご返事ありがとうございます!
こんなに早く的確に、しかもフレンドリーにお答え頂けると思ってなかったのでとても嬉しいです!
Purple Audioはやはり用途とズレていたんですね…。
black lionの製品に少し良いイメージがあるのもあってseventeenのコスパが魅力的で迷っていたんですが、多少高くなっても満足する音になるのが一番ですし、MythVCAは見た目も好みなのでこちらに買い替えようと思います!!
仰る通りマイクプリ、すごい悩みます(笑)
最初に手軽なgolden ageのNEVE系やwarm audioやblack lionのAPI系のマイクプリを試したんですが、なんか欲しくない帯域が強調されるな…となって(black lionはそんな感じの強調感が無くて値段にしてはかなり良かったんですが、何故か適正音量でも音割れがしやすい上にゲインがワンノブなのとステップゲインがシビアで、ゲーム等のBGMに潰されるけど良い音か、潰されないけど割れやすい音の二択となり手放してしまいました。)
そこから500の電源を買って沼にハマってしまいました。。
HeritageやVINTECHのapi500のNEVE系と以前使ったblack lionの音が好みだったのでAPI512cを試してみて、歌だと良いかもしれないけど配信だと音が濃すぎるなと感じたので、そこでやっとこれはクリーン系のマイクプリが正解なんだと気づいた次第です泣
クリーン系 マイクプリで検索するとakeruさんの記事が出て来て、記事の内容がとても参考になるのでこの人に相談した方が良いんじゃ…でも用途が配信だと真剣に音楽作ってる人からしたら良い気持ちにならないよな〜と2年近く悩んでました。
なので気楽に考えて大丈夫と言って頂いてほんとに有難いです泣
クリーン系マイクプリよりちょっと高めのインターフェースの方が音が良かったらショックだな〜と思っていたので、輪郭や厚みに違いがあるなら安心です。
おすすめ頂いた中だとやはりSP-MPが気になってます!
PRE ONEはチャンネルストリップのマイクプリだけ抜き出して2chにしたものと考えるとそんなになのかな?という気持ちもあるんですが、値段がホントに魅力的ですよね!akeruさんのCressndoの記事を読むとCressndoは値段的にキツいけどこれなら…!と傾向は違うと解りつつも手を出してみたくなってしまいます。。
ご返事ありがとうございます。このブログのテーマでもあるのですが、ここで書いた内容もどこかしらで実体験できると納得したお買いものができると思います。まあ、都内近郊以外だとなかなかそれも出来ないと思うので、少しでも正解率が高い情報をこれからも上げてくので、これからもチェックしていただけると嬉しいです!
コメントとかの内容が次のテーマのヒントにもなるので、皆様もお気軽に書いちゃってくださいな。