タイミングと音量の調整はピッチ修正の前がお薦め
文字で書くと当たり前じゃんってなると思うのですがボーカルのミックスで1番大事なのは「音量の調整」につきます。
感情表現とかもここの部類だと思う。ダイナミクスがかなり広いので他の楽器より細心の注意が必要だよね。
じゃあその前の作業を完成していこうということで、今回はピッチとタイミングの話。
ピッチは誰からも重視されるんだけど、タイミングと音量を先にやった方が効率がよい。なんでかって言うと、MelodyneとかWAVESのTUNEとか一回プラグイン側で読み込んじゃう系は、元データを直すと読み込み直さないといけなくなるからね。無駄な行程は避けよう。
まずソロにして、聞こえづらい音を波形で音量を修正していこう。これは無駄なコンプを減らす為に必須です。ここを面倒くさがるとコンプが難しいというか制御しきれないんですよね。どんなクリーン系でもコンプって可能な限りない方がナチュラルです。かかりすぎるとかころは下げるとってのも大事な下ごしらえです。COMPに関してはたまに基本に振り返ってみるのもありです。「MIXテクニック基本編COMP①〜⑥」
だいたいのDAWなら波形の音量は掴んで直せるご時世なので必要なところを切って修正の繰り返し。後々、オートメーションでやってる人も多いけど、そのトラックの根本的な音量調整でフェーダーを触ると、オートメーションも直さなきゃいけなかったり、Sendの量感も変わってしますので、だいぶ大きなひと手間が増えるので、こっちの方が後々楽です。
次に音の長さとかタイミングをリズムとベースを鳴らしながら直していこう。ダブルやハモリで重要なのは、音の入りと伸ばしの長さ(言い換えると伸ばしてる拍数をちゃんと自分でコントロールしてるか?)のうまさがプロの音源との差にもなる。実際はレコーディングのタイミングでとことんやって、微調整の領域だと思う。リズムに対して声が噛み合ってるかも大事なポイントです。歌はじまりとアレンジ上ボーカルだけになる部分以外クリックを聞かせなくてもいいと思ってます。クリックに耳取られ過ぎてせっかくのオケのリズム感を感じてないので、テイクが硬いです。レコーディングのその場にいるならコミュニケーションでいろいろほぐしてあげたいですね。クリックの言うことなんてある程度でいいです(笑)
いつもの様に一瞬脱線しますが、経験上上手いリズム隊の人はその曲を演奏しながら口ずさんでる。
で、そう言うプレイヤーの演奏は自然と歌を邪魔せずに歌いやすいところに音があるんだよね。自分が口ずさみながら、歌いづらいリズムは叩かないもんね。ベーシストもギタリストも同様ね。歌の後ろでごちゃごちゃ余計な事しないで、歌との掛け合うように隙間隙間にセンスを感じるフレーズがすっと入ってる。他の音を聞いてから最大限の気持ちで必要最低限のプレイに全力を尽くしてる感じ。
最近送られてきたデータでもあったのが、ギターが一番邪魔なパターン。上手い下手の前に邪魔。そして、目立ちたがり屋でかつ下手だった。関係者に話を聞くと、そのギターがリーダらしい。自分が好きすぎてアンサンブルで一人浮いてる感じね。よくあるパターン話だね。
「母音」と「子音」を分けて考えるのがクォリティアップのコツです
本線に戻ると、ボーカルのレコーディングのコツは「母音」と「子音」を分けて考えることかな。例えば「明日」という歌詞なら、「あ」と「しのし」と「しのい」「たのた」「たのあ」の5個に分けてピッチを考えます。「あしいたあ」って感じ。これを明日の3文字でピッチ修正かけると直りきらないと思います。なんか違和感を感じる時はここまで分けてみてください。
で、レコーディングの時もそれぞれの強さと長さを意識して歌ってもらうって事。それぞれの子音をちゃんと言えてると、歌詞がちゃんと聞こえるし、母音を伸ばす拍数を揃えるとテイクも揃ってくる。俺が関わるボーカルレックはプロでも初めての人でもここをしっかりとやる。テイクを重ねちゃう理由を明確してあげた方が、歌う方も分かりやすいでしょ?
後、各フレーズの1音目を強く歌う意識も必須です。レコーディング慣れてない人のほとんどがこれがダメで、1音目が篭ります。声優さんが正しい形で口を開けてから発音するってのと一緒で、ここの意識はかなり重要です。
ちなみにこの辺の編集はやっぱMelodyneが強いな。音だけでいったらTUNEが1番好きだけどね。ただTUNEの癖というか、細かく聞くとクリックノイズっぽいのが入ってるのが気になる時があるので早く解消して欲しいものです。
ちなみに上手い人は勝手に出来てる。録る側も歌う側も体力と気力に限りがあるから、直すとこを明確にして少ないテイクがベスト。闇雲にやってるとみんな疲れて正解が分かんなくなるしね。
そのオケの中でどう聞こえるかがピッチ直しの正解
ピッチ直しは絶対的に歌い手が居る状況でやった方が絶対に良いです。ここは環境的に難しいかも知れないんだけど、データの往復を何度もやり直すよりはAudioMoversとかで聞いてもらいながらの方が圧倒的にクォリティが高くなります。
今のご時世全てのフレーズをど真ん中に直すのは簡単だけど、生楽器のオケなんてピッチが安定してる訳ないからど真ん中は逆に浮くし、歌い手が意図してない直しは逆効果なんだよね。せめて、本人かプロデューサーに当たるような人と時間を作ろう。ピッチってちょっと下の方が悲しげとか奥が深いんだよね。
こっちの判断で微妙なところの判断やや美味しいから直してないとかもその場で説明できるし、歌い手側の参加意識も高くなるので良い結果になる事が多いです。
ピッチが気になる様になったのって、ソフト音源が出てきてからだと思う。ハード音源は個性や不安定要素もあって、そこまで気にならなかったんだけど、ソフトシンセのピシーッ安定してるオケが増えて来て、ちょっとの揺れも気になり出したんだろうと。
ピッチ修正の極意は「潔癖症になるな!」だね。
細かく聞いて気になるとこ直してると、他のところがどんどん気になって、最終的にやり過ぎになる。後、ピッチ直しはオケの中で聴こう。そのオケの中でどう聞こえるかが正解だと思うから。
今回は下ごしらえで終わったね。次回からミックスの実作業に入ろう。
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