ミックスとか音が細い原因って完全にそこじゃない?
よくある相談や送られてくるファイルで気になることがあって、ミックスとか音が細い原因って完全にそこじゃない?ってのがあったのでまとめてみます。
アンシュミのギターの音が細いとか、ドラムの音が抜けないとか、全体の音のバランスが崩れやすいとか、、、まあいろいろあるんだけど。まずチェックするのはこの二つです。
- そのトラックのVUってどれくらい触れてるか?
- プラグインの入力と出力のレベルも適正レベルか?
はい?って人多いと思うんだけど、ここのが今回の最大のポイントです。
俺自身は意識もせずに常に確認してるから説明の必要性を感じてなかったけど、これってもしかして知らなきゃ知らないポイントかなと思いまして。
例えば、コンプに付いてるメーターのGRは絶対見るとして、インプットとアウトプットのレベルをシビアにみてますか?
目には入ってるけど、なんであるのかがわからないとそこまでしっかりは見てないだろうし、DAW側のトラックレベルに目が行っちゃうよね。
今30代半ば以上(いわゆるDAWが仕事のスタートより後から出てきた世代)のクリエイターってハードウェアで育った世代だと思うのですが、若い頃から仕事にしてた人ってここを合わせていかないと、絶対に音が良くならないのを無意識に知ってます。いろんな機器をミキサーに入れて、適正レベルに揃えてからミックスなりの作業をするんだけど、DAWのミキサーにはこの適正レベルに合わせるつまみがないんだよね。(少し前のアップグレードでStudio oneについた入力コントロールってのが同じ役割だね。)
この適性レベルってのはいわゆるクリップとは少々違います。
まずはVUメーターっての少しだけ理解してみよう。
VUメーターっての少しだけ理解してみようと思います。VUとは300msの平均値みたいな説明はどっかでみつけてくださいませ(笑)
ざっくり言うと人間の聴感上に近い音量を著してるメータなんですが、それでもいまいち意味がわからないと思うので、以下の感じでやってみると必要なとこだけ理解できると思います。
まずはマスタートラックの最終段にVU系のプラグインを挿します。このタイミングでマスタートラックに他のプラグインが入ってる人は全部外してください。出来ればハードのVUのほうが反応いいけどね。現時点では意味がわかればいいのでどっちでも大丈夫です。
ちなみに個人的にはVU系プラグインならこれでいいかな。無償ですし。
VUが無いところで作業するときとかにダウンロード出来るようにDropboxにインストーラー入れてあったりもします。このご時世、都度ダウンロードすればいいじゃんって思うけど、いざってときに製品名覚えてないもんで(笑)インストーラー類をまとめてクラウドストレージにおいてあります。
まずそのトラック(例えばEG)をソロにしてVUがどれくらい振ってるか見て、全然触れてないなら、VUの-3db~-5dbくらい触れるまでトラックの波形のボリュームをあげる or トリム系のプラグインで純粋にボリュームをあげます。(この段階のボリュームを上げるってのはトラックフェーダーの前でやる必要があります。)
これくらいレベルの信号が来て初めて、その後に挿すコンプやEQ、アンプシュミレーターがちゃんと反応するようになります。このVUの-3db~-5dbってのは大体の値でもう少し低い方が扱いは簡単ですが、ざっくりその辺まで針が触れる=これくらい触れてないない音はどうやっても音が細いままです。
もちろん触れすぎは録音レベルがでかすぎる=録りで失敗してるので、取り直すか波形のボリュームを下げる所から始めます。
こういった基本的なレベルの調整をしてない状態にいきなりプラグイン挿しても、各ノブの位置程に効果(変化)が無くて、実際にそれぞれの道具の役割を果たせていないことが多いです。そうすると、プラグインを何個もさしたりとか、コンプのアウトプットでレベル稼いだりとか、いろいろなつじつま合わせが必要になり、これがミックスの時間(だけ)を大いに増やします。
何回か練習すると感覚がつくので、まずはやってみよう。
さて、ここまでが概要みたいなもんで、ここからはこうやって触ってみると意味がわかって応用できると思います。
練習するのにお薦めはプラグインは、WAVESのSSL Channnelみたいなコンソールモデリング系ですね。何でかっていうと「THE ミキサー」だからです。
これ系ならなんでもいいんですが、今回の意図を確かめるためにもインプットレベルのノブとアウトプットのノブがちゃんとあり、それぞれのメーターがあるのが必須です。アウトプットのノブがあるプラグインは多いんだけど、インプットって意外とないんですよね。
この辺も持ってなければ、どんなDAWにも入ってるトリム系のプラグインとVUメーターがあれば通じると思う。理解すれば、道具がなくても同じ様なことを意識すればいいからね。
ギターやソフトシンセのドラムの音がしょぼいって人を例にすると、だいたいこんな感じが多いんじゃないかな。
- ①波形小さすぎパターン
ライン録音のdryの音がしょぼすぎて、プラグインのインプットが全然触れてない=VUもあんまり触れてない動いてない。こっちの対応策が長めなので、後半にまとめてあります。
- ②その逆の波形大きすぎのパターン。
プラグインのインプットが思いっきり振ってる=VUも振り切り気味。
どのプラグインでもどこかしらのLEDが赤くなってたら要注意です。トラックのレベルと同じくらい重要なアラートなので無視しない様に調整をしてください。
簡単な②の大きすぎのパターンはまず、録音がうまくいってるかな?
純粋に録音のゲインが高過ぎるか、もしくは無駄な低音が多いとかの類です。この辺は以下の過去記事をチェックして整理してみてください。
「MIXテクニック基本編EQ編②:メーターを埋める低音のトリートメント」
少しでもクリップしてたら録り直し(正直、そうならない様録るが最低ルールね)、してなかったら波形のボリュームで調整に入ります。クリップしてないからOKってのもちょっとプロっぽくないので、上に-10dbくらい余裕があるといいですね。一番声を張るとこでも-6dbは行かないくらいを基準にしてます。
これは経験上断言できるのですがクリップしてるトラックは何をしようが絶対に埋もれます。
その音自体がすでに歪んでてるので、クリアには絶対にできないし、その音を前に出そうとするとその歪みというか滲みが目立ちます。RXとかのプラグインでどうにかのする前に録り直してください。
人から来たもう直せないデータや馬鹿みたいにデフォルトの音量が高いソフトシンセとかは、まずそのトラックをソロにしてVUがどれくらい振ってるか見て、VUの-3db~-5dbくらいに収まる様に調整してください。
波形のボリュームあげるか、SSL Channelで言えば、インプットレベルのノブでそのプラグインインプットメーターの0db近辺にしっかり調整するのが大事です。適正レベルにするってそういう事ね。ここが通じにくい人がいそうだったので、あえてしつこめに書いてます。
インプットノブでしっかりと入力音を揃え、EQやCOMPの作業を行い、アウトプットフェーダーで適正なレベルまで下げる。ってのが各トラックの仕込みの段階の一連の流れです。
ちなみにこの時のDAWのトラックフェーダーは絶対0dbのままでいてください。このタイミングで触りだすとどこが基準か分からなくなるので、プラグインのアウトプットなりで以前に書いたような「各トラック-10~-12dbくらい」にレベルに整えてください。タムやスネアみたいにどうしても突き抜けてくる音はリミッターで止めるのもありです。
我ながらすげー渋いんですが、McDSPのRetro PackってバンドルのCompとリミッターの係方が個人的に好きでドラムの皮ものとかのレベル処理によく使ってます。
ソフトシンセの音デカすぎ問題は以前に書いてるのでこちらをご参考くださいませ。
「実際のMixの流れ編 Vol.2:トラックレベルの間違った理解をやめよう」
本題!①小さすぎパターンの対応策
順番が逆になってしまいましたが、①小さすぎパターンが音がしょぼい大体の理由です。
まず、さっきと一緒でインプットのレベルを適正に調整してみると、、、あれ。。
ね、これだけじゃうまくVU振れないでしょ?上手く触れている人は元音が結構ちゃんとしたバランスってことなので、しっかりとレベル管理ができてます。この辺はアウトボードがあるとかなり有利ですね。気になる方はこっちのシリーズもよかったらチェックしてみてください。
さて、うまく触れなかった人はこんな感じにやってみてください。
- どの音でも中域ってのが大事で、EQで200〜1KHZくらいで、音の太さが出るところを見つけて緩めのQでしっかりとブーストします。楽器によっては複数箇所あります。ギターやスネアは200〜300hz近辺になんかポイントがあり、700〜800hzくらいにも違うポイントがあります。それより上の帯域は音のキャラクターは変わるけど、音の太さとかに対してあまり影響がないので触らずに。抜けは2〜4Khz周辺をゆるくブーストだけでいいです。今はトラックの下ごしらえであって、楽曲に対するMix作業じゃないってのを忘れないでね。
- ①の後にコンプで変なピークをしっかり整える。ここはたまに出てくるピークのみに引っかかる様なセッティングで大丈夫です。お好きなプラグインで抑えてください。FabFilterのPro-C2やPro-MBとかのクリーン系が個人的に好みです。
この2つを行うと、トラックフェーダーのメーターの位置がほとんど変わらくても、1.5倍くらい音が太くなって存在感が出てきてるはずです。
ここまでやって、本当のミックス作業のスタート地点です。
で、先ほどの内容と被りますが、トラックフェーダーは0dbのまま、プラグインのアウトプットフェーダー (無いならトリム系プラグイン)で、メーターが過去に説明したレベルに近づくように調整する。
「実際のMixの流れ編 Vol.2:トラックレベルの間違った理解をやめよう」
この流れが一度にできるから、コンソール系のプラグインが使いやすいんだよね。もちろん好きなプラグインでの合わせ技でもいいので、こういうことに気を付けて行くと仕上りが変わってきます。
いきなりEQとかCOMP挿すなってのはこういうことね。こういうレベル管理が出来てないと、正常に動作しないのはハードもソフトも一緒です。
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