相変わらずミックスとアレンジ直しばっかりしておりまして、仕事がないよりはいいかな〜と思いながらも、ずっとのんびりしたいな〜と思ったりの毎日です。
最近は少しでも気が紛れると思って、庭でヘッドフォンをM1 Airに直挿しのみで作業してることが多いです。まあ、後は挿してiLokくらいかな。Steven SlateのVSXってヘッドフォンの中に自分の環境と同じBarefootとPMCが並んでる部屋があって、それが結構似てるので大体をヘッドフォンで作業し最後にスピーカーで鳴らして空間系とか前後感だけ整えてます。
家にあるとりあえずギターが弾ければいい的に買ったサブシステムのSSL2&Genelec 8320で終わらせることもあるので、実はみなさんとそんなに環境は違わなかったりします。
前置きが長くなりましたが、最近こういう嬉しいことリアクションをもらいます。
「とにかくドラムの音がかっこいい」
「生感ある」
バンドマン出身としては、最良の褒め言葉の一つでもあります。ただ何か特別なことをやってるかというとそうでもないんですよね。自分なりの普通の作業だと思ってやってる内容をざっくり話してみると「すぐに真似してみます!」と言われるので、あながち普通には知られてないことなのかなと思って久しぶりに書くことにしてみました。
いつも通りもちろん異論はあるでしょうし、数字も参考程度にお願いします。
後、最近読み初めてくれた人のために書くと、本ブログはあえて「文字だけ」です。動画とか音とかデザインに凝ったり絵とかあるとね、目で満足して実際に試さないよね〜。俺がそうだから(笑)自分の素材で自分で触ってみないと経験値って溜まらないので、試すだけ試してみてくださいませ。by akeru
ほぼ毎回こんな感じで処理を進めています。
さて、今回のポイントを先に箇条書きします。
①モニター音量をそれなり大きくして作業を始める
②綺麗にGateする
③OHの音はあんまあげない
④モノアンビを使う(なければ、モノラルのリバーブでも大丈夫。)
⑤皮ものの音は空間系で作る
って感じですかね。普通よね。基本自分がレコーディングすることが多いのですが、そうでない場合はちょっとだけTriggerの力を借りることがあります。だから、もう一個だけ。
⑥Triggerを使うときの注意点。
さて、一つずつもう少しだけ書いていこうと思います。
①モニター音量をそれなり大きくして作業を始める
このそれなりってのがわからないよね。簡単でキックとスネアとボーカルのみを鳴らして、マスタートラックが-6〜8dbくらいになってる状態で、その部屋で聞ける音量の8割くらいまで出してください。
これより小さい音量での作業では見えないことが多く、ここで音量とか音圧とか出そうと無駄にコンプやリミッターを使ってしまうのでがドラムの音がひっこむ最大の理由だと思っています。ここでそれぞれをしっかり音量を上げてしまうと、マスターなりが飽和して結局音量をさげていく作業がうまれてしまい、更に他のトラックとの兼ね合いでいろんなトラックのバランスを調整する必要がうまれ、作業時間がかなり増えたり修復不可になってるのをOZONEとかに何とかしてもらおうとする感じになっちゃうのかなと。
各トラックの音を整理しながらまず綺麗に音量バランスを作ります。ここでも一つのポイントが、あんまりいろんなプラグインを使わずにまずざっくりと整理します。大体SSLとかのコンソール系(後述のInputとOutputのつまみがあるから)のプラグインで大丈夫です。
Inputで必要な音量にしてから、EQを行い(大体はミドルの調整とハイのし処理です)Outputでレベルをしっかりとコントロールします。ここで神経質なEQとかすると、カリカリになってそれをどうにかダイナミクス系のプラグインで音圧をつけようとしてぐしゃります。
しっかりとした音量と周波数バランスにするだけでそれなりに太い音になるもんです。余程演奏のムラがない限りまだコンプも要らないですね。これを大体にトラックにやった後にfabfilterとかのEQで干渉をさけ、コンプ(主にクリーン系)で音量や質感を揃えてます。なので、各トラックのフェーダーは0dbのままで、後でオートメーションを書くときまでほぼほぼ触ってないです。
②綺麗にGateする
これは皮ものが中心なのですが、もう完全にプラグイン頼りです(笑)SonnoxのDrumGateって製品が周波数も含めてしっかりと分離させてくれるので、スネアのボトム以外は使ってます。①の処理との順番は素材次第。ボトムにゲートをかけない理由は、ゴーストとかも含めてずっと存在するスナッピーの音をそのまま生かすことで一体感を残してます。詳しくはこちらから「実際のMixの流れ編 Vol.3:ドラムのトラックの積み方①〜③」
ここで綺麗に処理しておくと、後々Triggerを使いたいときに誤作動を防ぐのにも役立ちます。
③OHの音はあんまあげない
OHの音をどう処理するかは人それぞれだと思うのですが、僕はもう金物とタムのアタックとか定位とかのためのみなので、結構なローカットと早めのコンプでスネアとキックだけ引っかかる様にしてます。後々の作業でどうせ持ち上がってくる音かつ、ボーカルやギターとぶつかりやすい帯域が多いので、ボリュームは下げ目です。
④モノアンビを使う(なければ、モノラルのリバーブでも大丈夫。)
これはあると無いで結構違う気もするんですよね。このトラックをしっかりとコンプして偽物感あるくらいのでわかりやすい空間の音にして混ぜます。
リバーブでつくるときは、Drum busとかからセンドすればいいのですが、この時に忘れ無いで欲しいのが「モノラル」リバーブです。欲しいのは空間の音ではなくて、チョココロネの様な後ろに向かって円錐の様な空間の音で、これがドラムの音に奥行きをつけてくれます。昔、海外のエンジニアの研究をしてた際に、スネアにスプリングリバーブを使ってる人が居て、その人の真似をしながら意図を探った結果がこんな感じになりました。
⑤皮ものの音は空間系で作る
この話をして実際に作業を見せると、みんな「お〜っ!」てなるんですよね。スネアやタムって、そのトラックの音をいくらがんばっても音像がそこまで大きく太くならないんですよね。④のモノアンビと一緒で、あんまりクォリティの高く無いリバーブ(DAW純正とか最高)を使うのがポイント。わかりやすいリバーブ音がわかりやすく音を大きくしてくれます(笑)クオリティーの高い素敵なリバーブは溶け込んじゃって目立たないんですよね。で、そのトラックにしっかりとセンドします。ちょっと多めかなくらいでもオケに混じるとどんどん埋もれていくので、大丈夫だったりします。ミディアムルーム的な適当なルーム系のプリセットを使うことが多いです。
⑥Triggerを使うときの注意点。
正直あんまり使わないのですが、どうしてもスネアとタムをごんぶとにしたい時に混ぜることがあります。以前書いた通り、①〜②で処理したスネアのトップからプリセンドでトリガーのトラックに送ります。直接のインサートはやめといた方がいいです。その理由として、ドラマーが感覚でコントロールしている力加減と音色変化が死ぬな〜と感じるからですね。自分で録ってることが多いのでなおさら感じます。なので、Triggerの音を元音と混ぜることで補強するスタイルの方が好きです。で、ここでの注意点がTriggerのプリセットの中のミキサーをちゃんと意識すること。大体5〜6個くらいのいろんな音がまざってるのですが、それの全てが必要な訳ではなくマイナスの要素になってる音もあるので、ちゃんと確認しながら調整した方が効果があがります。
ちなみにミックスの際には一切アウトボードはほとんど使いません。外車買えるくらい持ってましたが、同時多発的に作業をするのでリコールを考えてそうなりました。それで仕事が減ったりはしてないので、それならそれでいいかなと、むしろ当時より音がいい気がしてます(笑)
よく聞かれるのでついでに書いておくと、いつの間にか以下のプラグインを中心に使ってます。
・Fabfilter Pro-QとPro-CとPro-Ds、Pro-MB
・SSL Duende Native チャンネルストリップとバスコンプが薄味で使いやすい(SSL2のオマケについてたやつ)とFusionのプラグインのやつとか。
・Slate digital Trigger2とVSX(なくてもいい)
・IK Multimedia T-Racks からいろいろ。
・Waves Tuneだけ(Melodyenをアップグレードするのめんどいだけですが。)
・Mcdsp Retroシリーズの3つだけ。なんか好きなんです。
・Soundtoys Devil-Loc Deluxe 線が細かったりハイがきついギターをこれでなんとかします。シンプルなプラグインなので簡単でいいです。
後はギタリスト的な趣味でNeral DSPとSTLとOverloud THUは全部入れてます。
また思うことがあれば書きたいと思います。質問とかお悩みがあれば書きやすいので、ご興味あれば是非。
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