コラムVol.5:飽きさせないミックステクニック(小技)

結構大それたタイトルなんですが、曲のクォリティとかアレンジの話ではなくて、毎回なにかしらの発見があるミックス(アレンジもですが)ってのが無意識に聞き飽きないポイントなんだと信じてます。

内容は短いですが、最近一世代下の子にミックス作業の一部を見せることがあって、ワザと気付くようにやって狙い通り反応がよかったので書いておこうかなと。

みんなが日常的は使わないだろうプラグインが何個か出てくると思いますが、基本全部同じことの為に使ってるので、今回の意図が伝わればなんでもいいです。

Wavesでいうと、EnigmaMeta Frangerdoppler、SoftubeのFix PhaserFix Flanger & DoublerH-DelayとかのMODのパラメーター、Tapeディレイ系、Tapeシミュレーターのwowのパラメーター、UAD2とかのMXR Flanger/Doublerなどなど。

さて、これらが持つ効果の共通項なんだと思いますか?

「揺らす」です。まあ「揺れる」でもいいですが、「揺らぐ」が一番かっこいいな(笑)

いわゆるモジュレーション系なのですが、ギターエフェクトのイメージ通りの飛び道具的な使用方法の印象が強すぎて、それ以外の要素があまり気にされないカテゴリーのエフェクト類ですが積極的な音作り以外にも、音像をランダムに動かすことができる(動かせるパラメーターがある)隠し味的なプラグインでもあります。

実際にEnigmaMeta Frangerは個人的にはかなり重宝してます。

シンセやストリングスのトラック、楽器に掛けるディレイなどなど、薄くていいから常に音をランダム揺らしてると、同じループでも有機的に感じます。コーラスをまとめたbusとかも不確定な揺れが足されると人数感がぼやけてます。コーラスにDimension Dとか掛けるといいよ的な記事があったりするのは独特の低音感プラスこの要素だったりするんだと思います。

多分、レコードやテープなどが今だに(しかも無意識に)人間に好まれるのって、音質はもちろんなんだけど、この不確定要素的な揺れなんじゃないかなって思ってて、10年以上前からずっとやってる手法です。

不思議とやるとやらないではミックスの埋まり方が違うし、自分でも意図してないから後で気付く動きとかも生まれてて面白いです。歌のディレイが四分や八分じゃなくて、3連にしたり、ほんの少しでいいからrateをつけると主役の後ろでいい意味で縦軸が乱れます。

ムロツヨシさんとか佐藤二郎さんみたいな名バイプレイヤーのこっそり(こっそりじゃないことの方が多いか。。)アドリブみたいな感じ。メインキャストの画面の後ろ方でストーリーに直接関係ないエキストラや後ろの小物とかがちょっと不思議だと気が一瞬いくでしょ?そうやって単調なとこに深みが足されます。

そういう遊びごころを散りばめてくと、その仕事が終わっても何度も聞けるんだよね〜。聞く度にこんな音入ってたんだっての楽しいでしょ?BPMに対するバシッとしたテンポシンクとそこからランダム外れる不確定要素がうむ感動というか。

よかったらぜひ試してみてください。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

ABOUT US
akeru
いつの間にやら業界歴20年越えのクリエイターが表じゃ書けないDAW関連レビューやMixテクニックなど書いていきます。 キャリアの中で身につけた経験を元に誰でも独学でプロレベルでミックスやアレンジができる様になれるよ!って記事を心がけてます。 最初は友人のバンドのお手伝いで始めたレコーディングから、アレンジ力が評価されプロデューサーという仕事に到達。その後、様々なバンドやシンガーさんの作曲からレコーディング、ミックスまでをまとめてうける用になって早20年近く。激しめのバンドものからR&B、HipHopを幅広く受けてます。 以前はアウトボードマニアでしたが、いつの間にやらIn The Boxの極みを目指してます。つまり「ミックスに関してはプラグインでもいけるよ」ってのが最近のテーマです。