ミックススタート!でもその前の最終確認をしよう。
ようやく本当のMIXの話にたどり着きましたね〜。
ミックス作業の途中でプラグインの使い方の話をすると話がぼやけるから、先に理解しといて欲しい意図でそっちを先に書いてきました。なので、前のシリーズを読んでない人は読んでからこのシリーズ「MIXテクニック基本編COMP①〜④」、「MIXテクニック基本編EQ①〜⑥」を読んでね。既述の内容はどんどん省略させて頂きます。
自分の曲で前に書いた通り「アレンジもよっぽどのことが無かったら直さないところまで詰める」が絶対条件でで、次の3つが作業も前の必須項目。
- 全てのトラックネームを整理する。
- カテゴリーごとにBUSにまとめて色分けをする。
- BPMをちゃんと決めて、セクションの切れ目にマーカー(A1、B1、Hookとか)を打つ
いきなり音を触りだす前にこれをちゃんとやらないと、何かとチェックする回数が増えるのと、カーソルの上下が多い。BPMはテンポシンク系の空間系には必須。他人データは受け取る時に必ずBPMとサンプリングレートを確認する。人に渡すときも必ずね。
ここまでの作業を完全に癖にすると、整理が終わるころにはそれなりその曲のを把握してると思う。ドラムの並び順とかも常に同じにすると更に把握しやすいので、自分なり決めてしまうと良いかな。
MIXの作業の中でもクリエイティブな部分と事務処理的な部分があるから、後者をいかに簡潔やるかがスピードに関わってくる。絶対的に使う空間系の処理が複数あるなら、それを含めたテンプレートを作るのも1つの時短。
ここまで書いておきながら、最近のDAW(特にStudioOneとか)はAUXやBUSの作業がかなり簡単かつ頭がいいので、実はテンプレを作らない派です。テンプレって大事なんだけど、MIXって言う一種の素敵なゲーム的要素がただの作業になっちゃう感がちょっと嫌なんだよね。以前はジャンルごとに作ってたけど、この仕事ってマンネリ化しちゃうともう音楽じゃないからね〜。
依頼主の努力以上はこっちもがんばりたいというか。まあ、結局時間が無いときは同じようなルーティングになるんだけど、そうじゃないなら常に新しいことを試してみたいじゃない。
意外とできてないトラックレベルの話
次にトラックレベルの話に。別のタイミングでもいいんだけど、最近ゆっくりした時間があまり取れないから書ける時に書いちゃおう。
突然ですが、全部のフェーダーを真っ平ら(0db)にした時にそれぞれのトラックとマスターフェーダーのレベルってどれくらいですか?
ソフトシンセがメインの人はパンパンでマスターはクリップするよね。宅録のボーカルやラインのギターもそんな感じになりやすい。
プロ・アマ問わず、これが一番の失敗の元。このまま作業するとこんな感じになる。
・声やギターばっか大きくて、オケが聞こえづらい
・リズム隊が小さい
・サビが来ると全体的にセンターが引っ込む
・分離が悪くぐしゃぐしゃ
まあいくらでもも書けるけど、 1つでも当てハマるなら、自分の以外の人は多分いいミックスだと思ってない。一応できてるけど感動しない(プロの作品にも結構多いよね、、)というか。
こうなる理由は2つ。こっからは完全に独断だから異論は有ると思う。
・ソフトシンセは単体で格好良く聴こえて買ってもらうために、デフォルトの音が異様に大きい。
・雑誌とかネットの読みすぎ。新しい情報も古い情報も並列に書いてあるってことです。誤解なく。
録音するときはピークギリギリとか未だに書いてあるでしょ、、更にピークを越えないようにアウトボードのコンプで潰すんだ!っていつの話だよってのをいつまでも基本の様に書いてある。
テープ〜16bitな頃はSNが良くなかったから少しでも高いレベルで録る必要があったのと、クリップをいい感じの歪に変えてくれるテープマジックがあったから分かるんだけど、24bitが出てきた時点ですべて過去の話ね。
すげー安物を除いて、現代の機材で24bit以上にしたらSNの問題は無視しても良いと言っても過言ではないかな。(録る環境の問題は残るけど。)
つまり、レベルをギリギリで録る必要がない。むしろ余裕を持って録るのが今の基本。下手したらプレイヤーの技量次第ではコンプなんて掛けないで録ることもあるくらい。(モニターには多少掛けるけど)-10db~-12dbくらいで録っておけば突発的なピークがあっても、コンプ無しでクリップせずに収まる。かけ録りのコンプは音を作るために掛けるわけで、クリップしない為のものでは無いから要らないなら使わない。
歌や演奏が下手な子は、自分のレベルのコントロールが出来てないから必須だけど。厳しい事言えば人前に出たいならそれくらい練習してから、レコーディングに入れってことなんだけどね。で、-10~-12dbくらいってのが個人的な経験値なんだけど、ソフトシンセ達もそれぞれそれくらいまで音量を落とそう。
あくまでも数字は目安だけど試してみてね
ちゃんとしたレコスタで本物のエンジニアさんが録ったなら、フェーダーの位置がフラットでもメーターの値がそんな感じになるように録り音の段階でレベルがコントロールされて録音されているはず。ここをアマは自分でやらないといけないからこそ、トラックの音量に注意してほしい。
オーディオの場合は、フェーダーの位置は0dbのまま波形自体のボリュームを下げるのがコツ。フェーダーはインサートの後だから、波形の音量が大きいと初段のプラグインに必要以上に掛かっちゃうんだよね。
さて、いろんなトラックの音量を下げてみたらマスターフェーダーはどうだろう?さっきより余裕があるよね?そうすると、スピーカーやヘッドフォンからの音もかなり小さくなって物足りなくなってるはず。
それで正解。それで聴こえる音量が小さいならスピーカーやヘッドフォンのボリュームを自分の好みの音量まで上げよう。その音量をちゃんとメモして常にその位置で作業する。モニターの音量が違うと同じ音も聴こえ方が違うから、詰めた作業をするときは徹底しよう。
既にちょっと長いけど今回のキモがここから。確認カテゴリーのレベルの積み方の話。
常にマスターフェーダーを見れるようにして、以下の感じと順番で音量を決めていこう。もちろんこのタイミングでマスタートラックにプラグインはNG。
①ドラム関連のトラックのみをSoloにして、マスターフェーダーで-10~-12db
②ベース足して、マスターフェーダーで-~8db
③ボーカルをスネアやキックと同じくらいに聴こえる様に作りこんで足してマスターフェーダーで-4~6db
④この時点で一切寂しくないように、以上3つのカテゴリーを作り込む(空間系とピッチ&タイミング修正を含む)あ、先にここにさらっと書いておこう。ピッチなおすとき、そのトラックだけをソロで聴いて直しちゃだめよ。そこに正解はないから。ここは別のタイミングで。
⑤④まで揃った縦列を一切邪魔しないように、他の要素の音作りをする。全てのオケを鳴らして、-2~-4dbになるようにする。
みんなの大好きな音量や音圧は後からいくらでも付けれるからご安心を。これは別のタイミングで。先に言えるのは、これくらい上に余裕があると音やダイナミクスを変えずにかなり行ける。正直もっと下げてもいいかも知れない。
③の前にギターとかシンセとか触りたくなるんだけど、大袈裟に言えば上モノなんて基本的に無くても良い装飾音なんだよね。でも作品としてはとっても重要な要素だから、前述の時間軸や奥行きを使ったテクニックで、常に主人公を変えて目立たそうってとこに繋がる。
音量の5~60%はリズム隊。声で更に20%、他で15%で、残りの5%はこの後の為にとっておこう。実はこれが昔ながらのアナログミックスの俺が感じてたバランスなんだよね。リズム隊とボーカルのバランスの割合は最初決めて崩さないのがポイント。
この感じを自分で掴めた時にさっきあげた自惚れミックスから抜け出せるはずなんだよね。で、こっからが個性だから。基本が出来てない人の個性は「タダの言い訳」で、基本が出来てる人の個性は同じことをやっても物事を決める感覚が違うから「勝手に付く差」だと思う。だからここに色々書いても俺と同じにはならないし、ライバルは多い方は良い(笑)
ちなみにいつも通り数字は大まかね。それくらいで感じ捉えてくださいませ。もっと余裕を持ってもいいけど、大人し過ぎるのも感動しないからね。
クライアントの世代やジャンルが違えば基準は変わります
後、最近はどの世代を相手にしてるかってのも重要。
バンドが流行ってた世代(仮に35歳以上としよう)とそれより下の世代、特に1~20代は聴きたい音というか聴ける音がはっきり違う。これはずっとどちらも相手にしてきているのと自分の立ち位置がジャンルレスだから体感して確信してるんだけど、簡単にいうと前者が好むオケの量は後者は過多に聴こえるし、逆はスカスカに聴こえてる。
つまり、EDM以降というかCDなんて買ったことないストリーミング世代は昔ながらバンドのアレンジは音が多すぎると感じて、空間がある方が気持良く&カッコいいと感じてる。その逆の立ち位置からするとこの空間の隙間をがシンプルではなく手抜きと捉えやすい。だからこそ、クライアントとそのファンの世代ってのはかなり意識して作業する。ここも簡単に言うとその層の流行りをいっぱい聴いて癖を勉強するのよ。その癖がそのジャンルの特徴だから何よりも無視できない要素なんだよね。使われてる機材の癖とかもあってリサーチは大事ね。
そうすると、今回の基準の下りも少しずれるんだけどね。基準なんて、いつだって流行り廃りで変わるからね〜。ただ基本は身につけるに越したことはないよね。
さて、次回は各カテゴリーをどうやってこの基本にまとめていくかに入ります。
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