かっこいい音はそれだけ目立つけど、、
いろんなプラグインをなんとなく使ってた人が必要に合わせて自分でコントロールできる様になるEQシリーズの③です。
前回の低音の処理がある程度身についたのとして、次の問題児はギターにピアノ、数トラックに及ぶシンセ等のいわゆる上物です。
特に最近のソフトシンセはそれだけで聴いても満足するくらい音が分厚く、更に動きまくるプリセットが多く、OmnisphereとかSpire、Avengerなどは、単音押してるだけでもプロっぽく聞こえるプリセットがいっぱいあります。
まあ、これがギタリストが作った曲のギタートラックと並んで、ボーカルに邪魔でしょうがないんです(苦笑)
僕はギター出身なのでここに関しては若い頃にかなりの打ちのめされた経験が多々あります。
どうしても自分が上手って見られたい人が選びやすい楽器でもあるのですが、弾きまくって邪魔な人よりも匙加減が巧い人の方が確実に評価されていきますよね。ギターの技量のセンスもあるのですが、周りの音を聞くセンスというか、その中で自分を出せる人が結局仕事になってるんだなと。僕自身がギターのプロにはなれませんでしたが、ギターアレンジはかなり得意で、依頼もバンドアレンジが多いです。
さて、せっかくアレンジしたオケなのに、それぞれの音がはっきりと聴こえない。。じゃあミックスだ〜→このトラックが聴こえないからEQでブーストだ~→今度はこっちが聴こえないからコンプだEQだ〜、、、
こう言うのありがちですね。そんな空気の読めない上物のアレンジは低音の場合と違ってEQでズタズタの引き裂いてしまいましょう(笑)
アレンジの分析がEQ処理の1番の近道。まずはしっかりと聞こう!
まず徹底的に「聞く」ことが大事です。ミックスのシリーズですが、先にアレンジの話に触れさせて頂きます。ある程度出来上がったタイミングで以下の様なことを意識して聞いてみてください。特に自分の作品なら人が書いた物だと思って批評することが大事です。
- そのトラックは本当にいるのか?
- そのトラックの音の全部がいるのか?(曲が書き上がった瞬間は勢いもあるので、結構てんこ盛りだったりするもんです)
- 同じタイミングにフレーズ過多じゃ無いか?(いろんなトラックで音が動きすぎてないか?)
- 楽器のフレーズがメロディーとぶつかってない?(半音ぶつかりとか)
- そもそもスケールアウトしてないか?
などなどいろんな整合性を確認します。他人の作品だと粗探しをするのに、自分の作品になると全部必要なもの思てしまうのがクリエイターの性かもしれませんね(笑)
ただ全部の音が分離良く聞こえるなんて不可能でして、比較的に経験の浅いクリエイターと仕事をする場合、ちょっとオーバーアレンジかつ、全部の音を聞こえる様にして欲しい的な依頼がくることが多かったりもします。
プロの作品の音の分離が良いのはアレンジの段階で選び抜かれたトラックで構成されいて、余計な音が少ないからこそ一個一個の音を大きくする事ができます。
レッチリなんてシンプルでしょ?だからこそ全員の音があそこまでハッキリ聞こえるってことです。すごく音の要素の多いバンドとかも、シンセは動いてる時はギターは白玉とか、ユニゾンにして分厚くするが音の動きは散らかってないとか、しっかりと整理されたりするもんです。逆にツインギターでそれぞれが動き回るフレーズのときはメロディーがシンプルなラインになってるよね。
不要な音域を必要な要素まで削り、パズルのピースを作るイメージ。
さて、各上物のトラックをどうやって削り出して行くかに話を進めていきましょう!
スタートはやはりハイパスから。聴きたいフレーズの雰囲気が変わらない所まで思いっきり切りそこから少し戻します。
この際にソロにしたり他の音と重ねたりと比較試聴しながら聞くのがEQ処理にはマストです。また、この雰囲気が変わらないくらいっていうアバウト感が重要です。
下の限界値を見つけたら上の限界値を同じ様にローパスして行きましょう。
シンセなどは生楽器に比べてかなり広い帯域にまんべんく音があり、隙間どころか様々な音の前に膜を張る感じだったりしますが、その曲の中で聴こえて欲しい部分って実はかなり少なく、それ以外が全部邪魔者扱いくらいでも良いと思います。
複数のシンセで一つのフレーズを構築する場合などは、かなりアグレッシブに削っていきましょう。
「レンジが広い=音が良い」って感じがすると思いますが、最近のソフトは音が良すぎて「実際に録音したらそんなとこまで音入ってないよ、、、」って物も多く、そこが逆に打ち込みっぽく(=ソフトっぽく)聴こえさせる要因な気がします。
パッと聞きで買ってもらう必要があるので、プリセットの音は化粧バキバキのモデルさんだと思ってください。そこにさらに化粧をするのって難しいですよね?
EQの見た目が極端な形になっても気にしなくて良いので音を聞きながらガンガンにエグッていきます。特にパッドやとかアルペジオとかはかなりいらない要素が多く、その分しっかりと処理しなければ他の音を曇らせる要因になります。
必要のない部分を削り取った後は、倍音の処理ってのが待ってます。
単体で聴いて寂しくないシンセは、それくらい広範囲の帯域に音が入っている訳で、他のトラック(特にヴォーカルやリードなどの主役の帯域)にしっかりと覆いかぶさっているんですね。
今回の様な処理方法でいろいろと整理したはずなのに、サビとかで一気コード楽器が増えた途端にボーカルとか聞こえづらくなることもあると思います。その原因は「倍音」という要素が絡んできます。
倍音の処理方法は次回の「即戦力のEQテクニック④:倍音を理解して意識する」にてご紹介させて頂きます。
後、Bias FXとかNeural DSPとかアンプシュミレーターを使う人に是非試して欲しいのが、オケを鳴らしながらローパス(=ハイカット)で上から8〜10khzくらいまでカットして行ってみてください。音が前にくるタイミングあると思います。このカットした帯域が必要がないくせに邪魔をしてたんですね。僕はまず9khzを中心に探すことが多いです。
主役を喰わないように、かつ自分の出番はしっかり存在感を出すのが「名脇役」ですよね!上物は主役でもあるんですけど、歌を意識する様な楽曲の場合は脇役な訳で、自分の出番をわきまえてる人(音)の方が存在感がある様に感じてます。
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