それって「レトルト食品を温めて自炊得意です!」ってのに近いかな。
前回の最後に次回はサチュレーション(真空管、TAPE、コンソール系)やTrigger、トランジェントデザイナーを効果的に使っていく方法を覚えていこう。
と書いてあるからそれで行こう。とりあえず今回で一旦ドラム編は終わりかもしれない。
まず、最近良く聞くセリフで「Trriger挿すから、元音は別に良くなくてもいい」あるけど、その割にクォリティー低いよね。ダイナミクスも空間感も出せてない。CLAの拡張の音ばっか聞こえるしね〜。更にそれにWAVESのSignatureシリーズとか使って、ミックスにIZOTOPEしたらドラムの生感なんて出るわけないよね。
「レトルト食品を温めて自炊得意です!」ってのに近い。
そういう大味に慣れてくると、舌が馬鹿になってくるわけで、その人のオリジナル料理は多分しょっぱいしコクがなさそう(笑)そんな人に自分の大切な会の料理を任せるわけ無いでしょ。
でだ、そんな感じになる背景に本格的(じゃなくてもいいです)なドラムの録音をしたことがない人が多いのではないかなと。行動的なバンドマンなら経験あるけど、宅録育ちだとほぼほぼないんじゃないでしょうか?後、DAWがスタートで、バンド的なリハやライブを経験したことがないってのも結構差が出ます。
このご時世、無いことは別に悪いことじゃないけど一回でもある方がこれに関しては有利です。これはどんな楽器でも言えると思う。実際に現実世界でやってることをデジタルの世界で再現してるってのDAWの根本なわけで、その現実の作業を知らないと、何を再現してるのって?こととも言えるのよね。
つまり言いたいことは、Triggerとかのサンプルの音がどういう事の結果にあの音になってるかを理解できるようになると、リハスタのレコーディングでもいいところまで行ける。もちろん予算の差はかなりでるけど、思っている以上のクオリティになるよ。V-DrumやV-Drum&ソフトシンセより全然マシ。それくらい録音したアナログって可能性がある。不純物が多いからこそ、音も太くなるし整理もできる。そして、何よりもオリジナルの音よね。だからこそいくらソフトシンセが発展しても、プロはレコーディングをし続けるはずです。
パラレルを駆使すると、いろいろメリットあります。
Trigger系を上手に使うコツは、今までにも何回か出てきてるパラレルです。もはやこれは必須テクだと思う。
ざっくり言うと、それそれの元のトラックからプリセンドでAUXに送りそのトラックにTriggerを挿すってこと。意外と気付いてないんだけど、意図してないとこでサンプルが鳴ってたりしてて、元データのクリーンアップがかなり手間だったよね。例えば、スネアのトラックで引っかかるキックとかタムの音は引っかからない様にする必要があったんだけど、毎度お馴染みのSONNOX のDRUM GATEでかなり綺麗な信号を取り出せるので、Triggerもより使いやすくなった。
パラレルで分けると元の音とTriggerの音の処理が別にできるので、原音を差し替えるのではなくて、補強するために使う感じ。それらを前回までの流れのように混ぜて一体感をだすと、洋楽感かつ自分たちの音になる。キックやスネアみたいなコアなパーツは別に複数パラレルを作っても良いから、原音+Trigger+原音をがっつり歪ませたものを混ぜて、ひとつのスネアBusに送るなんてこともOK。実際の予算と時間のあるレコーディングでアナログ領域で本当にやってることだから、それの再現してるだけなんだけだったりする。ギターのトラックをいろんなマイクの音やアンプを混ぜて一つの音にするとの同じ感じ。理想の音が出るまでCPUとメモリーを駆使していこう。
パラレルに関してはこちらでまとめてるので、ご興味のある方はチェックしてみてくださいませ。
歪みは面白いけど、気をつける必要もあり。気にするポイントを抜粋
次はサチュレーションね。グルーブと並んで歪っていう都合のいいふわっとした言葉の代名詞だ。
とりあえず代表的なのがこの3つよね。真空管、TAPE、コンソール系。
先に言うと歪みなんて言ってるけど、プラグインの歪みなんてただのEQだから、裏ではすごいプログラムかも知れないけど、効果的には同類なので特徴を抑えれば良い。
一番簡単な真空管からいこう。ギタリストのイメージする歪みって言葉とレコーディング業界で意味するところは大分差があるよね。行っても軽いクランチ。
高域を柔らかくしながら伸ばすってイメージのみで大丈夫かな。だから金物やシンセ臭さをなまらすのに向いてる。歌にも合うよね。
次にTAPEは見た目上パラメーターが多いけど重要なのはテープスピードで、それ以外はキャラクター違いと割り切って良し。テープの種類やマシンのメーカーの違いも同様。テープ系のプラグインのマニュアルに元になったモデルの製品説明が書いてあるから目を通しながらさわると気にいる機種があるはず。クリーンを売りにしてるマスター寄りのテープマシンで歪みを欲しがるより、音が変わりやすい機種を選ぼうってこと。しつこいくらい書くけど、何事も元を知るのが一番の時短です。
最初は、7.5、15、30ipsの切り替えのみでいいかな。スピードが早い=数字が大きくて、スピードが速い方が解像度も上のヌケがよい。スピードを落とすと、ハイがなまって下が太くなるくらいの記憶で大丈夫です。自然に軽くヨレることが無意識に聞き飽きないんじゃないかなと、ここがレコードやテープが未だに人気がある要素だと思ってます。
後は、TAPEに対する漠然とイメージである少しむっちり太くなるってのを基本に、ソースをどうしたいかで選べばOK。何個かプリセットを見てみると、VUの値が数字で書いてあると思うんだけど、それに合わすようにインプットゲインを決めることがポイント。そのプリセットを作った人の意図が見えてくから、最初は真似して理解出きてからオリジナルの設定に行こう。
IK MultimediaのT-RACKS好きなので、最近はT-RackS Tape Machine Collectionばっか使ってます。
最後はコンソール系だね。各メーカーの違いなんてネットにいくらでも書いてあるから割愛すると、実験して欲しい事はそのモデルのインプットを突っ込んだときと突っ込まないときのキャラクターの変化。
TAPEにも言えるだけど、モデルを選んだ後にここで更に変わるから、適当にダイナミクスのあるドラムループとかで試してみて欲しい。メーカー名でイメージされるキャラクターは、どんなときにちゃんと出るかってことがわかると更にうまく使えるじゃないかな。同じ系のプラグインを増やすより、理解した上で一個のプラグインを使う方が仕上がりに統一感もある。
実際のそれらが現役だった頃を考えると、複数のモデルを混ぜて使ってないというか、物理的に出来ない訳で、でもみんなその頃のその環境で作られた音に憧れてるから、ここまでいろんな製品が出てくるんだよね。
Plugin Allianceのコンソール系だと72chだっけ?全部元ネタが違うフェーダーを選べるので、周波数が団子になりにくかったりなどなど、コンソール系は歪み以外にもフェーダーの位置で音がくすむとか引っ込む感じとかいっぱい要素があるので、コラムかなんかで一回まとめます。
トランジェントデザイナーの前にまだまだ考えることも
あー。後、トランジェントデザイナー系か、、
はなっからその音が気に入らなくて、リリースをがっつり弄るって以外は、普通にちゃんとミックスして、それでも最後に他のトラックとの兼ね合いを強調する時に使えば良いかな。ミックスの後半で使うと簡単にクリップしてくるので破綻しやすく、他とのバランスを取り直す必要が出てくるので使うなら早めのタイミングで。
まあ音が気に入らないなら違うサンプルを選ぶとか、もはやアレンジに戻れよって思います。曲って書き終わると可能な限り元のトラックの音自体を変えること無意識に嫌がるんだけど、そもそもを変えた方が早いことも多いので、怖がらずにそこまで戻るって結構重要。最初に使ったソフトシンセを最後まで使わなきゃいけないルールもない。
ちなみに歪みは強く掛けると低音が削れたり音やせするので、最初の方に書いたパラレルがかなり有効です。抜けないトラックをパラレルにして、かなり歪ませて元のトラックに混ぜる感じ。で、重なって邪魔な要素はEQでしっかりと削って必要なとんがりだけを足すなんてことをよくやります。
後書き
ドラム編も大体書いたんだけど、なんか質問あればコメント下さいませ。失礼じゃない感じでこなければ、可能な限り答えようかなと。
ここまでのって読んでるだけだと机上の空論だし、自分なりの基本を話してるに過ぎないから、固有のケースによってやっぱ対応方法は変わるよね。そのジャンルならではってのもあるし。
特にないなら次回からベース編に行くとしよう。実際ベースが日本の宅録環境だと、かなり難しい部類だと思う。プロの作品でもダメなあるし。自分の過去のでも今ならもっと行けるのにって思う事があるし。
ただでさえ難しいのに数年前にくらべてさらに低音の使いこなしが、プロとアマ、邦楽と洋楽の差になってると勝手に思ってます。
コメントを残す