なぜ空間系は基本インサートで掛けずにSendするのか?
これはプリセンドで〜〜〜とか書いてるけど、そう言えば復刻中のこのシリーズでここに触れてないと気づきまして少し補足します。
「ReverbとDelayはAuxトラックにインサートし、そこにSendで送る」
少しでもミックスをかじれば誰でも知っていますよね。では、そこからいろいろ発展して行こうと思います。
なぜ空間系は基本インサートで掛けずにSendするのか?
空間系のインサートは原音自体のサウンドに直接影響が出るので、くすむというか濁るというか。それを避ける為だったり、リバーブ成分だけEQをしたりと、原音と個別に処理したい為に分けているわけです。もちろんサウンドとして狙った場合はインサートもします。インサートリバーブを使いこなすのが今っぽさでもあるので、それは後述します。
本題に入る前にSendにはプリとポストがあるんだけども、ちゃんと理解して使い分けれてますか?
簡単に言うと、プリフェーダー(プリセンドともいうよね)はインサートスロットの直ぐ後、つまりトラックフェーダーの前でSendされ、ポストフェーダー(だいたいデフォルトはこっち)はトラックフェーダーの後にSendされます。
ポストフェーダーの弱点を先に言ったほうが分かりやすいかもしれないので、まずはそちらから。
プリとポストの使い分けてミックスの幅を広げよう!
ポストフェーダー=フェーダーのポスト(後)
つまりトラックフェーダーの位置に影響をもろにうけます。空間系を設定した後にフェーダーの位置が変わるとSend先のエフェクトの掛かり方が変わる。
これを逆に捉えて、ボリュームフェーダーの位置とは関係なく送り先のエフェクトの掛かり方を固定したいときはプリフェーダーを使うって訳です。
試しやすいギターでご説明!
一つの例として、ラインレコーディングでギターやベースを録音したトラックはそのまま弄らず、新規でAuxトラックを作りプリフェーダーでそこに送って、そのトラックでアンプシミュレーター(長いので以降、AS)等を掛ける。
つまりライン録音したドライのトラックから2本プリフェーダーで別々のAUXに送りそれぞれ別のASを立ち上げる。そうすると、ドライと2つのアンプで録音したの同じ感じになる。
もう少しだけ具体的に的に書くと、MesaやDiezel系の歪みが強めのアンプは欲しい(ギタリスト弾きやすい)歪感をつけると、輪郭が見えなくなりやすいよね。実際のマイク録音だと尚更その傾向があるから、そこにJCM800とかをクランチにしたトラックや同時に立てた違うマイクの音やDIの音を混ぜる。そうすることで、歪みの派手さ、輪郭のあるクランチ、フレーズの芯になるラインの音の3つの組み合わせで一つの音を作れます。
こうやって作品で聴ける音になるんだけど、これを全部プリセンドを駆使して再現しようってことです。スタジオなどで卓があるときはこれをアナログ領域で行い、録音するときのモニターバックの音がこの感じになってるので、プレイヤーのテンションとか上がるんですよね。
ひとつのASで2つのアンプとか複数のマイクを混ぜれる製品も多いですが、その後が結局1つのトラックにまとまるから、それぞれに対しての別の処理が出来ないのでこっちの1アンプ1トラック方式の方がお薦めです。
ベースやドラムはこんな感じ
ベースの場合はラインにアンプのふくよかさを足すイメージです。つまり疑似的にリアンプした結果を再現します。
「DIはフレーズの輪郭と低音感」「アンプは厚みや広がり、音のエッジ感」といった感じ、バスドラムのINとOUTのマイクの様に役割を分けると音作りの幅が広がります。
これと同様にスネアは、プリセンドで送ったトラックを思いっきり歪ませて原音に混ぜるとEQやコンプの処理より急に抜けて来ることが多い。最近の海外のエンジニアさんで見かけるのが、スネアやキックからプリセンドでAUXに送り、そこにTrigger系のプラグインを指してます。
サクッと元のトラックにTriggerをインサートするよりも守備範囲がい広いワザなのでお薦めです。この辺はドラムの編で書いてるのでチェックしてみてください。
実際のMixの流れ編 Vol.5:ドラムのトラックの積み方③
この流れで是非実践してみて貰いたいのが、ドラムの中で金物を抜いたそれぞれのトラックから一つのAuxに集め、そのトラックをかなり思いっきりコンプで歪まるワザ。各トラックからプリセンドで1つのAUXに集めて、SSLのBUS COMPとかで一番激しい設定にし、それを少しづつ混ぜて行く。いきなりドラムが海外バンドの生ドラムっぽい臨場感と音圧が付いたはずです。
なんでこうなるかというと、思いっきり潰すと歪む=音が悪くなるわけで、音が悪いと埋もれるから音像が後ろに下がっていくのね。そうすると、前にあるDRYの音に対して、派手だけど少し後ろの方で鳴るWETの音が合わさって、奥行きと派手さが出ます。純粋に歪み系で同じことしてもいいんだけど、コンプの方が音圧が残るのでおすすめです。で、混ぜた時に過剰になる帯域はWETの方をEQなりで調整すればより立体感のあるトラックが作れますよ〜。お試しあれ!
ここでなぜ金物を外すかのかというと、強めのコンプの掛かった金属音はあまり好ましい音にならないからです。個人的な好みなのでその音が好きな人はお好きにどうぞ~。金物は別途真空管系のサチュレーターでハイをキレイに伸ばしたりするのもいいですね。
目から鱗の情報ありがとうございます。
早速試してみましたが、以下について教えてください。
当方、Cubase pro12を使用しており、ギタートラック(Dry音 PAN:R90)から、アンシュミMLS C_Zero 100を挿入したFXトラックへSend(Pre)したところ、SendのPANをR90に振ってもうまく反映されません(FXトラックの構成はモノラル・ステレオの両方で試しました)。
リバーブなどほかのエフェクターを使った場合は、きちんとPANは効きますが、アンシュミだけはどうしても音が真ん中で鳴ってしまいます(アンプリチューブ5など他を試しても)。
FXトラックのPANを振れば解決なのですが、それですと左右のギターごとにFXトラックを作らなければいけなくなるのでスマートではないのかなの思っております。
この手の問題をググってもヒットしなくて難航しておりまして、
もし解決方法ご存じでしたら、どうぞよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。
Cubaseユーザーではないので細かいことは分からないのですが、大体のDAWはDryトラックの「PANを振り切る=反対側から信号は出ない」となると思います。
なので、Dryトラックを含め、SEND先のトラックをひとまとめにBUSに集めて、そこで初めてPanを振るのはいかがでしょうか?
個人的にはそういう感じでやっており、コンソールがある場合は同様の作業を物理的に行なってます。
ギターをLRそれぞれに振るのがピンとこないなら、まとめたBUSトラックから新規のfxトラックに送り、そこで12〜20msくらいのWET100%のディレイを掛け、PANを反対側に振ると擬似的なステレオ感が作れます。
これはAメロはLにしかギターがないけど、それだけだなんか寂しいなって時にこの技を使うと結構効的だったりしますよ!
連絡遅くなり申し訳ありません。
ご提案いただいた通りにしたらうまくいきました。
これで何とかなります。
ありがとうございました。
それにしても、この記事のおかげで音作りに自信が持てました。
しばらくお世話になります。